カテゴリー「西九州新幹線開業関連」の4件の記事

2022年12月 4日 (日)

新大村諫早間の経路変更

 新幹線と、それに並行する在来線は基本的に同一路線として扱いますが、新幹線単独駅が存在する区間は別路線として運賃計算を行ないます。根拠条文は、旅客営業規則16条の2です。1項において、同一路線とみなす区間が、2項で別線扱いの区間が、それぞれ列挙されています。並行する在来線が存在しない区間、例えば、北陸新幹線の高崎~金沢間などは。単一の路線として運賃計算をする旨が16条の4に規定されています。

 さて、9月23日に西九州新幹線が開業しました。西九州新幹線の扱いがどうなるか見てみます。

・同一路線扱い(16条の2)
 長崎本線の諫早・長崎間(現川経由)と、西九州新幹線

・単一路線扱い(16条の4)
 西九州新幹線 諫早・武雄温泉間

・別線扱い
 対象なし

これだけ見れば特になにも思いませんが、諫早~新大村間は、大村線が並行しています。ここは、条文を見る限り、単一路線扱いです。別に定められた条項等は存在しません。なぜ?という疑問が湧きました。

 まず、大村線は地方交通線で、一方西九州新幹線は、全線幹線扱いです。諫早~新大村間の運賃を比べてみると、大村線経由は300円、西九州新幹線経由は280円となります。個人的にはこれが理由かと思いました。

 地方交通線を並行在来線とみなす区間として、山陽新幹線の徳山~広島間が挙げられます。厳密にはその一部ですが、岩徳線経由とみなしていますが、西九州新幹線の事例とは事情が異なります。つまり、この区間を岩徳線経由としているのは、光経由の山陽本線を並行在来線とみなすより、距離が短く、いわば旅客有利となることがあります。山陽本線で徳山~岩国間を通過する場合も、岩徳線経由で計算します。この方が運賃が安いため、そのように定められています。

 では、西九州新幹線の諫早~新大村間について考察してみます。営業キロ、擬制キロを見てみます。

 西九州新幹線経由:12.5km
 大村線経由   :15.3km

 西九州新幹線と大村線を同一路線とみなし、大村線経由で運賃計算をすることになると、運賃計算の基礎となる距離数が増えます。これでは旅客に不利です。逆に、大村線の当該区間を幹線扱いにするか、当該区間に特定運賃を設定する(これでは根本的な問題は解決しませんし、前後の区間を含めて特定運賃を設定する必要が生じるなど、手間がかかりすぎます)ことで問題解決を図ることも理論上は可能です。

 理論上は、と書いたのは、別線扱い、正確には新幹線を単一路線とすることで、なにか不都合が生じるかを考えればわかります。新幹線経由の方がキロ数が短くなるから、といっても新幹線に乗るには別途特急券が必要ですから、結果として高くなります。よって、乗車券の値段だけで乗車経路を決める人はまずいないです。そうすると、99.9%の旅客は実乗車経路通りの乗車券を買うでしょう。そうすると、不都合が生じる、言い換えれば、精算が生じるのは、大村線経由と西九州新幹線経由相互間で乗車経路を変更した場合、つまり区間変更(経路変更)をした場合くらいしか考えられません。こんなことをする人も実務上ほぼいません。

 以上の考察から明らかなように、面倒な手続きをしなくて済み、かつ弊害もほぼ存在しないことから、同一路線扱いにしなかったのだと思います。

 では、実際に区間変更をしてみます。原券は、長崎~吉塚(経由:長崎・新幹線・武雄温泉・佐世保線・長崎線・鹿児島)です。これを持って、長崎から新幹線に乗り、諫早で降りました。乗換改札に人がたまたまいなかったので、改札を出て、窓口で、大村線経由にする旨の区間変更を申し出ました。

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 小倉博多間は経路変更が必要なのは知ってるけど、ここもそうなの、とかどっかに電話しながら補充券を書いてくれたので、区間変更券の常備券は存在せず、本社側からも経路変更が必要になることは特に周知されていないような気がしました。差額の20円を支払ってお礼を言い、大村線の快速シーサイドライナーに乗りました。ちなみに新大村の在来線改札は無人なので、新幹線経由の乗車券でそのまま乗ってきても特に差額収受ということにはならず、それすら誰も気づかないまま外に出て終了となると思います。

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2022年9月22日 (木)

在来線特急「かもめ」号グリーン車

 先ほど、長崎発着、最終の在来線特急「かもめ」号が、博多、長崎両駅を発車しました。運転時刻は次の通りです。

           博多        長崎
かもめ45号  2210 → 2400 
かもめ48号  2344 ← 2137

 博多発の「かもめ」号は、佐賀行きの101号がまだ残っているので、正確には、かもめ号の最終列車ではありませんが、長崎行きとしては最後です。下り長崎行き45号は、5分延で博多を出たそうです。

2022_08290426(長崎駅停車中の787系)
 散々書いてきたので、もう書きませんが、明日から新幹線「かもめ」号になります。先月乗り納めをしたとき、長崎行きは、885系の普通車に乗りましたが、せっかくなので、帰りは、787系のグリーン車にしてみました。肥前鹿島から用務客と思しき人が1人乗ってきたほかは、長崎から博多まで乗りとおしたオタクばかりで、DXグリーンと個室も埋まっていました。

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2022_08290431(長崎駅あれこれ)
2022_08290437(「特急かもめ」の表示)
 往路で眺めた有明海を再度眺め、肥前山口は通過して、博多に向かいました。ラストランの様子をTwitterで見ている限り、博多長崎両駅とも、予想していたほどの人出ではなかったような気もします。終着駅に着くのは、30分から1時間後ですが、最後まで何事もなく、走ってほしいものです。
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 ラストランと一番列車は単純に混んでいるので、避けているため、今日と明日は普通に家にいますが、来月末に、開業後の西九州新幹線に乗りたいと思っています。

 

 

 

2022年9月21日 (水)

特急「かもめ」

 いよいよ明後日、長崎まで西九州新幹線が部分開業します。当日に長崎入りすることは全く考えていませんが、前回に引き続き、長崎本線から無くなるものシリーズです。いきなり余談ですが、前々回くらいから、きっぷ券面以外の写真はクリックすると拡大します。そうすると本文表示のものが少しぼやけているような気がするのですが。。

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2022_08290308(885系「かもめ」長崎にて)
 今回は、特急「かもめ」です。「かもめ」の歴史は長く、戦前は、客車列車として東京~神戸間を走っていましたが、太平洋戦争の激化とともに、1943年には運転を終了しています。戦後は、京都~長崎間の気動車特急でしたが、山陽新幹線の博多開業の1年後、長崎本線の電化完成とともに、博多~長崎間の電車特急になっています。

 それから、JR化後に、783系「ハイパーかもめ」が登場したり、485系が引退したり、885系「白いかもめ」が運転を開始したりしながら、現在は、博多~長崎間と門司港~佐賀間を走る特急列車として、885系、又は787系で運転されています。783系が使われていた時は、特急「みどり」「ハウステンボス」と併結して、肥前山口まで合計13両編成で走っていたこともあります。

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 九州島内は、高速バスとの競争が激しく、博多(天神)~長崎間には、高速バス「九州号」と熾烈な争いがあります。特急「かもめ」にも、ネット予約専用の割引きっぷが3種類設定され、いつでも買える「九州ネットきっぷ」、3日前まで買えて変更もできる「九州ネット早特3」、7日前まで買えて変更不可の「九州ネット早特7」です。最安の「ネット早特7」は、正規料金(5590円)の半額以下の2340円です。「九州ネットきっぷ」は3150円で、これでも半額近いです。「九州ネット早特3」は、その中間の2550円です。これでも半額以下ですので、いかに競争が激しいかがよくわかります。

 ちなみにバスは正規料金で2620円、所要時間は、博多から2時間半、天神から2時間10分です。特急「かもめ」は、列車によりばらつきはあるものの、約2時間ですので、早特きっぷを買って、丁度互角です。バスは天神直通ですので、天神に用事がある場合は、渋滞していなければ、バスに軍配が上がるかもしれません。
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2022_08290297(見納めの「諫早」「浦上」)
 博多1015発の「かもめ91号」は、多客期のみ運転の臨時列車ですが、スジ的には準定期列車です。車両は885系で、窓側が埋まるくらいには乗っていました。ちなみに、佐賀で少々降りたほかは、ほぼ長崎まで乗り通していました。

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2022_08290283(博多にて)
 肥前鹿島までは新設の特急「かささぎ」が乗り入れますが、その先、有明海を望み、雲仙も見えて、885系の振り子が本領を発揮する曲線ばかりの長崎本線を特急列車が走るのは明日までで、真っ白な高架の長崎駅に入線するのもこれで最後です。電化設備が撤去されるので、リバイバルとかも、おそらくできません。

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2022_08290315(長崎駅の掲示類)
 在来線特急としての幕を下ろす「かもめ」は、9月23日から新幹線になります。所要時間は最速列車で30分短くなり、1時間半、その一方で、ネットきっぷ系も約1000円値上げされます。「リレーかもめ」は、平坦直線の多い区間のみを走るようになることから、885系充当列車は大幅に減り、8両編成に増強された787系主体になります。

2022_08290319(在来線乗り場。「博多方面」の表示は残るのか。)
2022_08290322(工事中の新幹線乗換改札)
 明日、博多駅から最終列車が出ますが、グリーン席全席と普通席7割近くがパックで抜かれていたそうです。その是非(非だと思っていますが)はともかく、何事もなく、最後まで安全に走ってほしいものです。

 

 

2022年9月19日 (月)

西九州新幹線開業前の浦上駅

 今週の9月23日に、西九州新幹線が部分開業します。武雄温泉乗換や、途中駅の営業体制の是非など、いろいろと言われていますが、とりあえず置いときます。西九州新幹線が開業するので、これまで博多長崎間を通しで走っていた特急「かもめ」は、博多武雄温泉間の特急「リレーかもめ」と、新幹線の「かもめ」になります。

 それに伴って、肥前鹿島~諫早間では、特急列車の運転がなくなり、なおかつ、特急が来なくなる、肥前浜から長崎までの長崎本線は、全て気動車運転となり、架線はそのうち撤去されます。長崎近郊の列車は、今でも大村線直通の方が本数も多く、諫早までの区間列車でも、気動車列車が多くあるので、架線撤去自体は特段驚きではありませんでした。ただ、諫早~肥前山口(江北)間の気動車列車に、どっかから持ってきたキハ40系列を少しだけリニューアルして投入するとは思いませんでした。せめてキハ200系列とかだと思っていましたが、本当は経営分離してしまいたかったJR九州のやる気のなさを具現しているのか、などと勘ぐってしまいます。

 いずれにせよ、長崎駅から在来線特急は消え、電車も無くなります。先月末に、これら無くなるものの見納めに行ってきました。長崎まで885系「かもめ」で直行し、折り返し、817系の鳥栖行きで浦上へ行きます。浦上駅は、高架化されたばかりの駅で、特急も全列車停車します。ところが新幹線の開業後は、ローカル列車だけになり、ホームは4両もあれば十分なので、特急対応の残り4両分は、仮設でした。

2022_08290328 (817系。長崎にて)
2022_08290334(長崎駅留置線)

 長崎から浦上までは、路面電車の方が便利なので、こんな区間でわざわざJRに乗る人はほぼいません。ちなみに、新幹線開業後に発売されるネットきっぷは、浦上発着の設定もあり、これらは、長崎まで新幹線に乗って、折り返せるそうです。本数の少なさがネックですが。

 浦上駅は、窓口と多機能券売機が1つずつあります。券売機では、特急券も買えます。長崎までの特急券設定はありません。路面電車に乗ってください、ということでしょう。

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2022_08290344(浦上駅あれこれ。クリックすると拡大します)
 諫早まで乗るので、乗車券と特急券をセットで買いました。そうすると、どちらも85mm券になります。乗車券には、「長崎線経由」と記載があります。特急が無くなると、この口座も設定が無くなると思われます。

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2022_08290383(長崎行きの885系「かもめ」)
 特急券は、何気ない普通の券売機券ですが、これももちろん買えなくなります。ホームに上がって、さっき乗ってきた885系の折り返し「かもめ」に乗りました。