カテゴリー「観光列車」の7件の記事

2022年11月14日 (月)

急行「花たび そうや」その3(音威子府→旭川)

 前回書いたのが6月なので、半年近く間が空いています(そもそもブログ自体の更新が1か月空いてるらいいです)が、「花たびそうや」号の記事を書き上げてしまおうと思います。

 音威子府まで進んでいますので、今日はここからです。3分停車で音威子府を出ると次は美深です。指定券と席が変わります。今度は1号車の「山明」です。記事を書いている間に、音威子府村の畠山製麺は廃業し、別の製麺所が、黒くない音威子府蕎麦を作り始めたそうです。これで最後、と思い、天塩中川で買いましたが、この1か月後、また音威子府の道の駅で生蕎麦を買っていました。

21300005

 音威子府以南は、開拓が進んでいる土地なので、車窓的には、延々と畑が続き、特に面白いものはありません。美深の到着は1203で10分停まります。私の指定券はここで一旦区切れますが、席は同じです。2番線の到着で、駅舎内でグッズ等の販売をしています。

2022_05290201(美深駅のNゲージ)
 とりあえず窓口に行って、常備券類を買います。走って2番目に着きましたが、すぐ長蛇の列ができました。これだけ並んでいるので、補充券は遠慮しておきます。1人目は初野まで作ってもらっていました。窓口は2人で臨戦態勢です。2枚買って、次はグッズ販売に回ります。絵葉書やらなにやらいろいろありました。乗客のほとんどがオタクなので、国鉄時代の硬券もよく売れていたようです。個人的に目を引いたのは、Nゲージのジオラマがあって、これは前からありますが、そこに、3両編成の「花たびそうや」号が走っていたことです。自作か?とも思い、帰ってから調べると、TOMIX が山紫水明も北海道の恵みシリーズも出していて、そのうち、山紫水明は、今、家で走っています。

21300006

 添乗の社員氏の「発車しま~す。列車にお戻りくださ~い」の声に急き立てられて、車内に戻ります。1213の発車、次は名寄です。25kmに満たない区間なので、急行券は320円です。名寄は1234到着、停車時間は9分です。公式にタイアップしているお弁当は、ここでの受け取りです。私はこの弁当の予約には敗退しています。幌延で、秘境牛ハンバーグ弁当を受け取って、もう美味しくいただきました。

2022_05290213
2022_05290214(名寄にて)
21300007
 名寄駅のLED職人ががんばっていました。ここでまた指定券が変わり、今度は席も変わります。また2号車に戻りますが、音威子府までとは別の席です。名寄から旭川までは1枚の指定券、同じ席です。普通は最初から最後まで1枚の指定券、同じ席だと思います。

2022_05290224
2022_05290226(士別にて)
 次は士別、1300着です。ここもホームで特産品を売っていて、羊牧場から、着ぐるみが来ていました。士別から塩狩までは各駅に停まります。次の剣淵は、ホームが短いので、2号車の扉は開きません、という案内がありました。剣淵ってそんな短かったかな、と不思議に思い、降りてから見てみると、確かにホーム自体は4両分くらいありましたが、停止位置目標が、2両を前提に植えられていて、そこに停まったため、はみだしたようです。無人駅なので、わざわざ係員を配置して、臨時の停目を置く、ということはしなかったのでしょう。

 

2022_05290232
2022_05290235
2022_05290231(剣淵にて)
2022_05290228(きっぷ販売の駅前商店)
 特産品販売はありませんが、駅前商店で、北の大地の入場券を売っています。普段はきっぷも売っています。駅からぞろぞろと次々にオタクが押し寄せていきます。入口に、おじさんが消毒液を持って待ち構えているのには笑いました。店員氏曰く、きっぷ、今無いんですよ、とのことでした。本当にないのか、大量のオタクを捌くために、入場券だけにしたのかは定かではありませんが。
 絵本の町、剣淵町からは発射後の車内でパンフレットの配布がされました。次の和寒は、お出迎えの人が旗を振っています。ここも少し停まるので、撮影をしていました。

2022_05290246(和寒にて)
 和寒を出ると、塩狩峠を登ります。キハ40のエンジンでは、今にも停まりそうな速度しか出ません。頂上の塩狩で小休止です。下りの特急「サロベツ1号」と交換です。駅前のエゾヤマザクラは、さすがに葉桜でした。

2022_05290277(塩狩にて)
 発車してしばらくすると、旭川の三浦綾子記念文学館から、『三浦綾子文学で味わう宗谷の旅』と題した本が配られました。巻頭には、「JR北海道 『花たびそうや』号 おもてなし特典」とあります。観光列車のノベルティといえば、市町村のパンフレットが主流で、本が配られたのは初めてです。小説の一部を抜粋して掲載していて、いくつか続きを読みたくなったものがあるので、その後何冊か買いました。

2022_05290280
2022_05290286(比布にて)
 山を降りて、比布に停まります。駅舎のピピカフェで、グッズやらお菓子が売られています。入場券もありますが、何枚か日付を押した状態で待ち構えていました。

 宗谷管内は分厚い雲に覆われた天気でしたが、塩狩峠を越えてからは所々晴れ間が出てきています。先頭に日が当たったところで、また撮影をしました。

 比布を出ると、次は終着旭川です。車掌氏が、「全区間走破証」を配布していきます。その際、指定券を見せるのですが、5枚並べて待っていると、向かいの人と車掌氏は、さすがに驚いた顔をしていました。

2022_05290312(終着旭川)
 旭川市内の高架を駆け上がると、終着旭川です。稚内から6時間10分」の長旅が終わりました。宗谷本線は、特に名寄以北の北線区間で、地元との連携が取れているので、春だけでなく、定期的に観光列車を走らせてほしいですし、欲を言えば、石北本線のオホーツク方面でも走ってほしいものです。

 旭川に着いたのが、昼過ぎの1446で、帰りの飛行機まではまだ時間があります。レンタサイクルを借りて、神楽岡方面を散策していました。

 

 

2022年6月19日 (日)

急行「花たび そうや」その2(稚内→音威子府)

 下りの「花たび そうや」号で稚内に着いて1泊した私は、風の強い曇り空の朝、また稚内駅に来ました。上りの急行「花たび そうや」号は0834発です。朝からホーム上には観光協会の方が横断幕を持って見送りに出ていました。私の席は1号車の「紫水」です。あいにく山側ですが、この天気では利尻富士を望むことは絶対にできません。宗谷線で海が見えるのは南稚内~抜海間の一瞬ですので、右側でも左側でも大差ないです。

2022_05290141(稚内にて)
 列車は満席ですが、私のボックスはもう1人いただけでした。増1号車のフリースペースに陣取っている人もいます。1ボックス4人で、2両定員が実際は3両あるので、単純計算で1ボックスあたり、4×(3分の2)=平均2.6人、ロング部分にいる人や、3人以上いるボックスもあるので、1ボックス2人が相場です。キハ40のボックスに4人詰め込まれたら窮屈なので、これくらいがちょうど良いです。

2022_05290146
2022_05290144(1号車のサボ)
 南稚内から少し乗車して、アルプスの牧場が鳴ると、車掌氏が長い放送を始めました。稚内観光ボランティアの方が豊富まで乗車していて、観光放送をしています。宗谷丘陵は、明治期の山火事で森林が焼け、熊笹の原野になったというのは知りませんでした。周氷河地形が日本で唯一見られるところというのは知っていましたが、前から熊笹原野だと思っていました。

21300003
21300004
 抜海付近で徐行運転をしましたが、海上には当然何も見えませんでした。事前に「今日は利尻富士は見えません」と予告があったので、見えないことを確認しただけです。

 エゾシカの飛び出しによる急停車をして、豊富に到着です。ちなみに、車内を歩いてみた感想として、パックツアー等の一般観光客はほぼいませんでした。要するにオタク輸送列車です。豊富で、

2022_05290157(豊富にて)
2019_07280408(3年前の「風っこ そうや」号)
 「風っこ そうや」号の時と同じアングルで写真を撮っていました。そのときも今日も曇り空です。初めて稚内に来た9年前は抜けるような青空で、海上の利尻富士を見た記憶があります。

 10分ほど走って幌延です。ホームで幌延観光協会の物産販売があります。私はここで弁当を受け取りました。「花たび そうや」号と公式にタイアップした弁当は名寄駅で売っていますが、事前予約で売り切れだったので、音威子府村や幌延町がやっていた弁当予約を使いました。Twitterかなにかで存在を知りました。幌延受け取りの秘境牛ハンバーグ弁当(幌延町のトナカイ牧場レストランが作っています)や、天塩中川受け取りの音威子府そばとかに飯弁当などがありました。

2022_05290166
2022_05290161(幌延)
 幌延を出てしばらくすると、雄信内で対向列車待ちです。見ていると、北海道警察のパトカーが駅前に入ってきました。撮り鉄でも線路内に侵入したのか、と思っていたら、なんのことはなく、警察官も列車に手を振っていました。

 天塩川と接近し、川を渡らない橋として著名な問平陸橋を渡ります。天塩川は雨で茶色く濁っています。対岸に砂の川原があり、3年前、ここから「風っこ そうや」号を撮影していた人がいました。道路はなさそうで、岸は森です。カヌーが見えたので、おそらく上流からカヌーを漕いできたのだと思われました。今日はそんな執念の人もいません。

2022_05290175(問平陸橋を渡る)
 問寒別橋梁の撮影隊を横目に、市街地に入りました。河岸には今日も北海道警察がいました。いわゆる追っかけのスピード違反取締のためか、この先も列車に並走する警察車両を何回か目にしました。

 天塩中川では17分停車です。私のきっぷは、ここから指定券が変わります。といっても、席は同じです。この先も、音威子府、美深、名寄と指定券が切り替わります。計5分割です。ただし、席が変わるのは音威子府と名寄の2回だけです。

 発売日の1週間前に、気合を入れて有休をとり、1400に、まず全区間、次に区間を適当に区切って、いろんな区間で事前予約を上限の10件仕込みました。事前予約だけでは信用できないので、発売日、実家から、えきねっとにアクセスしました。

 全区間は当然満席で、まず、稚内から音威子府、これもダメ、次、天塩中川、△だ、確保、そしたら次は天塩中川から音威子府、あ、これもある、確保。この段階で予約を一旦確認すると、事前予約で名寄→旭川だけ取れていました。よって、あとは音威子府から名寄です。着駅、旭川、×、次、名寄、×、美深、△、確保。ラスト、美深→名寄、△、確保。そういうわけで、なんとか全区間確保しました。天塩中川と美深は結果として区切らなくても取れたのですが、適当に検索をして、見つけた区間は即確保という方針で取ったので、5分割されました。通しで買えば1850円ですが、合計5730円もかかりました。急行料金の遠距離逓減が受けられないのと、毎回530円の指定席料金がかかるのが理由です。窓口へ持っていけば、通しの料金にできはしますが、めんどくさいので止めました。

 話を戻します、天塩中川の物販は一番気合が入っていて、9月で廃業する音威子府村の畠山製麺の黒い音威子府蕎麦も売っていました。1人1束で、限定25束です。高齢化が理由で廃業するそうですが、門外不出の製麺法で、もう二度と黒い蕎麦は食べられなくなります。これからこういう事例が各地で更に増えそうですが、どうにかならないものなんですかね。

 宗谷線活性化協議会のグッズ販売などもあったので少し貢献してきました。

2022_05290176
2022_05290177
2022_05290187(天塩中川)
 佐久~筬島間では、天塩川の対岸に「北海道命名の地」が見えます。音威子府村の殻が幟を振っています。幕末の探検家松浦武四郎がこの地で、「北加伊道」という名称を考案し、明治政府が北海道と名付けたそうです。

2022_05290193(北海道命名の地)
 筬島を通過するとまもなく音威子府です。私は座席移動をしなければなりません。なぜか音威子府は3分停車です。車掌氏も、「音威子府はお客様の乗降が済み次第すぐの発車です。また、駅のみどりの窓口は日曜日のため休業しています。駅舎へ走っても、入場券はお買い求めいただけません」と言っていました。

 音威子府からは、また次回に続きます。

 

 

2022年6月13日 (月)

急行「花たび そうや」その1(幌延→稚内)

 お久しぶりです。北海道ばかり行っていたり、少し忙しかったりで更新が途絶えていました。

 さて、一昨年に初めて企画されるも、緊急事態宣言(懐かしい響きがしますね…)の発出により運転取り消しとなり、昨年こそは、と指定券の発売がされるも、またもや緊急事態宣言の発出により、運転開始前日の夜20時に突如運転中止が発表された宗谷本線の観光列車、急行「花たび そうや」号が、今年も設定されることになりました。ちなみに去年は、指定券を10時打ちしてもらって取れたものの、3か月くらいしてから払い戻しています。

 運転区間は昨年企画分と同じく、旭川~稚内の全区間、土曜日に下り稚内行き、日曜日に上り旭川行き、運転期間は、5月14日~6月5日の合計8日間、上下各4本です。指定券は昨年同様、熾烈な争奪戦が想定されました。JR北海道も、緊急事態宣言が出される度に観光列車を運転中止にしていたのでは各方面から反感を買う、と気づいたのか、昨年秋ごろから、車内イベント一部中止にするくらいで運転自体は継続していたので、今年は運転されるだろうと予想ができました。

 初日の発売日は参戦せず様子見をしていて、当落がTwitterで出るだろうと思っていましたが、情報がほとんど上がってきませんでした。2年連続運転中止になっていたので、敬遠されたのかと思いました。翌週は予備で参戦するつもりで、えきねっと事前予約の待機をしていましたが、丁度この日は、えきねっとがサーバー落ちしたのか、まったく繋がらない状況でしたので不戦敗です。

 駅で10時打ちした人の情報を見ていると、上りの名寄~旭川間で、60/80席が団体枠になっているとかいう噂がありました。マルスで座席選択画面を見れば、団体枠分は、〇でも×でもなく、団体と表示されるので、見ればわかります。真偽のほどはともかく、(限りなく真に近いとは思いましたが)、結構厳しい戦いだなと思いました。

 本命の5月28日発売分は事前予約を打ちましたが、敗れました。しかし、会社で夕方何気なく、えきねっとを見ると、乗車予定区間の幌延→稚内は、△が出ていました。すかさず確保です。通路側でしたが、まあそこはいいです。翌日29日は、稚内→旭川の全区間乗車しようとしていたので、事前予約を打つために有給休暇を取りました。その顚末はまた次回にします。

 そういうわけで、下りは乗れることが確定しました。「今年こそ、行けSOYA」というキャッチコピーで無事に運転が開始されました。ただ、私のフォロワーさんの範囲では、乗車ツイートはおろか、リツイートでさえ回ってこなかったので、事前情報通り、団体枠が多かったことが推測されます。

 こういう観光列車は、運転を企画しても、指定券は歴戦のオタクにより発売開始とともに、1、2秒で瞬殺され、本来想定していた顧客の一般観光客が複数名で乗ろうとしても、まず指定券が取れない、空きが出ても1席だけ、それもすぐ取られる、という状況になるのが常で、乗車すると、観光なんかしなさそうな、終着駅に着いたらすぐ折り返していくオタクばかり、ということがままあります。それを回避するために旅行社のパックツアーに取り込んで、団体枠設定で予め席を抜いておく、ということがよくあります。それ自体は企画目的に沿ったものですので、私は賛成ですが、4分の3を抜くとかそういうのはどうかな、とは思います。

 それはともかく、Twitterで観測している限りではあまり話題になっていませんでしたが、5月26日夜のAIRDO便で私は千歳に飛びました。最初の予定通り、翌日は羽幌線沿いのオロロンラインを沿岸バスで北上し、初山別村で1泊しました。星が綺麗な天文台のある村で、前浜でとれた魚介類が美味しい温泉宿があるので個人的に気に入っていて、よく来ます。朝、千歳のホテルで思いっきり寝過ごし、フロントの電話で起こされるという失態を犯しましたが、夕方には初山別に着きました。ただ天気がダメで、留萌についたときには折り畳みは役に立たない大雨で傘を買いました。

2022_05290030(初山別村の朝)

2022_05290034(みさき台公園。すぐ曇り)

2022_05290055(バスが来る頃には、雨)
 海の幸と温泉を堪能して、翌朝目が覚めると、外は青空が広がっていました。これは期待できるかと思いきや下り坂の天気で、初山別を沿岸バスで出発するころにはまた雨になりました。この頃には、「花たび そうや」号は旭川を出発しています。フォロワーさんが大勢乗車しているのが観測されました。1号車はオタク、2号車は団体の一般観光客という棲み分けで出発したようです。

 さて、バスで幌延に着きました。駅舎は、「花たび そうや」の歓迎ムードです。観光協会の方が大勢現れましたが、乗客は見えませんでした。幌延から乗るのは私一人のようです。
2022_05290076(幌延駅)
2022_05290112(幌延町のゆるキャラ「ホロベー」)

 列車は「紫水」を先頭に入線してきました。編成は前から、「紫水」、「道北流氷の恵み」、「山明」の3両編成で、1号車、増結1号車、2号車の順です。増結1号車はフリースペース扱いです。

2022_05290080(「花たび そうや」号が入線)
2022_05290109(幌延にて)
21300002
 私の席は2号車の通路側でしたが、同じボックスの反対側が空いていたので、そちらに座りました。2号車の一般観光客はどこかで降りたようで、オタクしかいませんでした。この「山紫水明」シリーズは、普通のキハ40を観光改造したもので、座席配置などはそのままですが、モケットや内装に手が入っています。

2022_05290104
2022_05290094(ヘッドマーク)
 前後でヘッドマークのデザインが異なっていて、稚内方の「紫水」は、利尻富士と原生花園、旭川方の「山明」は、塩狩峠の桜をイメージしているようです。道北の原生花園は、サロベツ原生花園が著名ですが、花の最盛期は、6月初旬から中旬です。オレンジ色のエゾカンゾウが咲きます。この日、私は遠別町の金浦原生花園というところで途中下車しようと思っていましたが、まだ咲いてませんでした。去年は6月初旬で満開になっていたので期待していたのですが。
2021_06070142_20220613144101(参考:昨年の遠別町金浦原生花園)

 幕は「急行」、サボも「急行|指定席」が差してあります。フリースペース扱いの増結1号車は「急行」だけでした。

2022_05290098
2022_05290096(2号車のサボ)
2022_05290117
2022_05290114(増結1号車のサボ)

 列車は宗谷丘陵を走り、豊富で停車します。豊富町の物産販売は中止になったそうで、誰もいませんでしたが、駅隣接の観光案内所は営業していて、北の大地の入場券やら、北の駅訪問証やらが飛ぶように売れていました。この列車には乗務員のほかに旭川支社営業グループの名札を付けた職員氏も数名乗車していて、乗り遅れがないか確認していました。

 豊富を出て抜海を通過すると、晴れていれば利尻富士の見えるところで徐行します。そういえば徐行区間以外は、80~90km/hくらいで快走していました。この天気なので、当然利尻富士は見えませんでした。

 丘陵地帯の原野から、いきなり住宅と舗装道路が現れ、稚内市街に入ります。熊笹の茂る原野に突如として直線の道路が現れ、その道路の下をくぐると、いきなり大都会になる、稚内のこの瞬間は好きです。北海道の都市は大体どこもこんな感じで、いきなり大都会に入りますが、ここ稚内は最果ての人口3万人の大都会で、余計にいいです。

 市街に入ると、、すぐ南稚内です。稚内市の中心部はここですが、ほぼ降りませんでした。余談ですが、稚内は市内線のバスが15分に1本走っていて、市内移動は結構便利です。

高架線を上がり、すぐ終着の稚内、1643着です。私は幌延からの約1時間でしたので、すぐ着いた、という印象ですが、旭川からは長かったと思います。この日は稚内駅から徒歩5分くらいの波止場に近いホテルに泊まり、夜は、名物の蛸しゃぶを食べに行きました。

 翌朝は7時過ぎに起きて、また小雨の中を稚内駅へ向かいました。出発は0834です。また次回に続きます。

 

 

2021年1月17日 (日)

時代の夜明けものがたり 立志の抄

2020_12120028 (高知にて)
 JR四国の観光列車「志国高知 時代の夜明けものがたり」は、去年の7月4日から、高知~窪川間で運行されています。坂本龍馬が土佐を脱藩したルートを走ることから、こう命名されたそうです。当初予定では、4月運行開始でしたが、緊急事態宣言の発出等による旅客減少が見込まれたこと等から、7月まで運休とされていました。

 車両はキハ185系2両編成で、2両ともグリーン車指定席扱いです。窪川方の1号車は「KUROHUNE」の愛称が付けられ、青を基調としたデザイン、2号車「SORAHUNE」は、白を基調としたデザインです。1号車の車両も内装は、幕末の蒸気船、2号車は、宇宙船をイメージしたものとなっています。窪川行きは、「立志の抄」、高知行きは、「開花の抄」という列車名です。

2020_12120029
2020_12120043
 JR四国の他の観光列車同様、車内で食事をいただくことができます。窪川行きは、高知県の皿鉢料理をイメージし、高知行きは、木箱のお弁当です。

21500001
60000001
 昨年12月に窪川行きに乗りました。指定券は、ネット予約非対応だったので、また実家の母に頼んで、10時打ちに参戦してもらいました。すぐに満席になったそうです。食事予約券は、東日本の窓口で買いました。イベント券扱いのようです。窓口氏が、2人で珍しそうに発券してくれました。

2020_12120057
2020_12120075 (2号車車内)
 食事を楽しむことが主目的の1つの列車ですので、高知の発車は、1204と遅めです。朝起きて、暇だったので、とさでんで伊野に行ったりしていました。
2020_12120072 (仁淀川)
 昨今の状勢を受けて、乗車前に検温と消毒をしてから車内に入ります。私の席は2号車です。車内のイメージ画像を見たとき、2号車の方が好みだな、と思っていました。席は窓向きに固定されています。構造を見た限り、テーブルを中央に寄せて、対面にもできそうです。席は山側でしたが、土讃線のこの区間は、須崎と安和駅付近の一部を除いて海は見えないので、どちらでもいいです。

2020_12120052
2020_12120060 (皿鉢料理)
 発車してしばらくすると、食事予約券を回収され、ほどなく、皿鉢料理が届きました。5000円と少しお高い気もしますが、内容は満足です。フォカッチャと珈琲が付いています。

2020_12120079
2020_12120087 (安和にて)
 伊野など、交換待ちやらで結構な数の運転停車がありますが、ドアは開きません。地元の方が出迎えに来てくれていたりするので、ドアを開けて物産展でもやればいいのに、と思っていました太平洋に近い安和駅ではドアが開き、駅前の広場で物産展をやっています。スタンプもありました。

 列車は土佐久礼と窪川でのみ降車できます。私は窪川まで行きました

 

 

 

2021年1月13日 (水)

アンパンマントロッコ四国一周 高松・観音寺

2020_09280056 (伊予土居にて)
 アンパンマンの原作者が高知県出身であることにちなみ、JR四国各線にアンパンマン列車が走っていますが、2000年に登場して以来、昨年で20周年だったそうです。最初に登場したのは、土讃線の2000系気動車で、特急「南風」等で運用されていました。その後、8000系の「しおかぜ」、キクハ32形の「アンパンマントロッコ」などが登場し、今に至っています。

 20周年を記念して、普段は、瀬戸大橋を往復している「アンパンマントロッコ」が、四国をぐるりと一周する企画が実施されました。昨年の9月28日からおよそ1週間かけて、高松→松山→宇和島→高知→阿波池田→徳島→鳴門→阿南→徳島→高松、とほぼ四国全線を走りました。

 驚いたことに、旅行商品だけでなく、一般発売がされました。ただし、運転区間が細切れに設定されており、例えば、予土線区間だけでも、宇和島、松丸、江川崎、窪川で区切られ、都合3列車の扱いになっています。通しにすると、全区間で指定を取られ、乗車できる人数が結果として減ってしまうためだと思われます。それに、アンパンマン列車は、小学生以下(かどうかは知りませんが。)の小さな子供を対象にした列車(←ここ重要です)ですので、そんなに長時間乗ってられない、ということも理由だと思います。

 昨年の9月末から10月初旬にかけて、長期休暇で実家に帰っていた私は、ふと時刻表を見ていて、この一連の列車の運転を知りました。平日が多いですが、休みなので、あまり関係ありません。あまり深入りすると、神戸から日帰りできなくなるので、香川県、愛媛県内の手頃な区間で乗ることにしました。問題は指定が取れるかどうかでしたが、インターネット予約非対応だったため、とりあえず激戦が予想された高松→観音寺は避けて、次の、観音寺→新居浜で、JR西日本の電話予約センターに聞いてみました。すると、どこがいいですか?などと言っていて、楽に取れました。

 そうすると、高松から乗りたくなったので、豊田駅の窓口へ行き、空席を照会してみると、これまた窓側通路側どこがいいですか、とマルス画面をこちらに向けてくれました。ボックス1つ空いているところがあったので、そこにしました。今出川さん によると 、高松発は、発売後瞬殺されたようですが、直前のこの日に見た限り、10席ほど空いてました。ツアーの戻しかもしれません。

2020_09280012
2020_09280018
2020_09280013 (高松にて)
 当日、快速マリンライナーで瀬戸大橋を渡り、高松に来ました。「アンパンマントロッコ」のキクハ32形、キハ185系の2両に加え、通常四国色のキハ185系が空転防止兼職員控車両として増結され、計3両編成で入線してきました。ヘッドマークも「四国一周号」専用mのものが用意されています。

 JR四国の職員も横断幕を持ってホームに登場し、テレビカメラも入っています。…ところが、肝心のお子様が全くいません。いるのは、大きなカメラを持ったマニアばかりです。テレビ局も職員も手持ち無沙汰にしていました。。。そんな中、1組だけ、子供を連れたご夫婦が来ました。横断幕を持って駆け寄り、テレビカメラとリポーターが必死に取材交渉をしています。OKが出たようで、トロッコ車両の前に移動して、インタビュー開始。これ以降、子供が来ることはありませんでした。帰りに小豆島のフェリー待合室で見たテレビには、この子供連れがきっちり映っていました。

 トロッコ乗車区間は宇多津からなので、キハ185系に乗ります。車内は当然アンパンマン一色で、放送もアンパンマンの担当ですが、乗っているのはもちろん、マニアばかりです。なんとか系がどうのこうの、とか、新居浜今治間だけ指定取れなかったから、しおかぜ何号で先回りして今治からまた乗る、と言っているバースデーきっぷ旅行者とか、そういう会話が聞こえてきます。添乗職員と、唯一の子供連れが、結構引いてました。。

2020_09280022
2020_09280023
2020_09280030 (車内)
 それはともかく、私は、新居浜まで乗り通します。トロッコ乗車区間は、宇多津から新居浜です。今日は天気も良いので、観音寺までは、瀬戸内海がよく見えました。観音寺で、列車名が変わります。マニア御一行は、半分ほどが降り、本来のお客様が乗ってきました。

2020_09280028 (晴れの瀬戸内海)
 時刻表上では、新居浜まで無停車ですが、伊予土居で運転停車したときは、ドアが開き、ホームに降りられました。他の運転停車駅でもドアを開けている駅がいくつかありました。伊予土居の次の関川でも対向の普通列車と交換待ちで停車しましたが、副本線にしかホームがなく、こちらは本線で停車し、もちろんドアは開きませんでしたが、近くの幼稚園(保育園かもしれません)の子どもが先生に連れられて、ホームで見学していました。

21600008
21600007
 新居浜到着後は、9分後の特急「しおかぜ」で折り返しました。で、きっぷですが、列車名が「アンパンマントロッコ四国一周〇〇」(〇〇は始発駅名)と長いので、券面は、「アンパンマン高松」「アンパンマン観音寺」と略されています。高松から新居浜まで偶然同じ席でした。

 

 

2021年1月 3日 (日)

はやとの風

2020_01270029 (嘉例川にて)
 肥薩線の観光特急「はやとの風」は、九州新幹線の新八代~鹿児島中央間が先行開業した2004(平成16)年3月13日に登場しました。車両は、キハ140系の改造で、車体は、ロイヤルブラックのシックな塗装とされ、内装も、観光特急らしくリクライニングシートが並びます。

 登場当初は、鹿児島中央~吉松間運転の臨時列で、「人吉はやとの風」として、人吉まで延長運転を行なっていたこともあったようです。予備車の登場により一時は定期列車とされていたこともありますが、2018(平成30)年3月17日以降は、ほぼ毎日運転の臨時列車に戻っています。現在は、新型コロナ感染拡大による旅客減少の影響で、長期運休中です。

2020_01270036
2020_01270033
2020_01270034
 肥薩線の吉松以北、特に人吉~八代間は、昨年の豪雨の影響で、ほぼ復旧不可能な状態にまで寸断され、同区間を運行していた「かわせみやませみ」「いさぶろう・しんぺい」車両は、博多~門司港間で併結運転していますが、「はやとの風」については、そういったこともなく、ただ運休とされています。個人的には、普通列車仕様の「いさぶろう・しんぺい」はどこかで快速列車として運転し、「はやとの風」と「かわせみやませみ」を併結運転すればよいと思うのですが。


2020_01270005
2020_01270008 (嘉例川駅)
 肥薩線は、東シナ海に沿って進む現行鹿児島本線(肥薩おれんじ鉄道)が開業するまで、鹿児島本線でした。艦砲射撃による被害を懸念した海軍の反対により、山沿いに建設されたと言われています。現行の鹿児島本線が開通すると、肥薩線区間は、ローカル線となり、駅舎の改築などもなされなかった結果、嘉例川駅など、開業当初古い駅舎が数多く残っています。

21100029
 「はやとの風」は、観光列車ですので、こういった古い駅にこまめに停まって、観光時間が取られています。車内では、駅弁も売られています。

 私は栗野で降りました。栗野駅は簡易委託駅で、香ばしいきっぷをいろいろと売っています。これはそのうち記事にします。降りたのは私一人でした。

 

 

2021年1月 1日 (金)

TOHOKU EMOTION(東北レストラン鉄道)

 新年明けましておめでとうございます。

 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

***************************

2020_11080011
2020_11080014
 八戸線に平成25年に登場したキハ110系の観光列車「TOHOKU EMOTION」は、東北レストラン鉄道と銘打っていて、その名の通り、車内で調理した食事を楽しめる列車です。列車は、キハ110系3両編成で、両端2両はテーブル席、中間1両は、全室オープンキッチンの食堂車です。座席は、1号車が4人用コンパートメント、3号車が2名掛けと4名掛けのテーブル席です。中間車は、「キクシ112」という国鉄時代を含めて初登場の形式が起こされています。

2020_110800202020_11080021
2020_11080023
 列車は団体臨時列車扱いで、びゅう商品として発売されています。そのため、旅行商品のみでの発売で、きっぷ単体では乗れません。2名以上でしか申し込めないのがネックになり、今までずっと乗れませんでしたが、昨年11月に乗ってきました。

2020_11080035(オープンキッチン)
2020_11080031(3号車)
 運行区間は、八戸~久慈間の往復で、往路はランチ、復路はデザートビュッフェです。片道ずつでも乗れます。びゅう商品は、四半期ごとに一斉発売で、発売日はとうに過ぎていたので、往復乗車できる日程限定の縛りは付けたものの、11月の土日どこでも可、1号車、3号車いずれでも可、という乱暴な申込みをしました。ちなみに、3名以下でコンパートメントを利用する場合は、追加料金がかかります。そうすると、1日だけ予約ができる、という回答が返ってきたので、即時予約をしました。なお、旅行商品なので、観光庁のGoToトラベル事業の補助が適用され、1人あたり8000円ほどで乗れ、地域共通クーポン2000円が付きました。

2020_11080041
2020_11080045
 八戸駅では、2号車からのみ乗車でき、乗降口には、赤絨毯が敷かれていました。オープンキッチンでは、前菜の盛り付けがされており、スープが火にかかっていました。
2020_11080048
 指定された席に着き、発車すると、ウェルカムドリンクが運ばれてきました。前菜に始まり、サラダ、スープ、メインディッシュ、プティフールのコースです。ランチなので、フルコースではありませんが、かなりのボリュームがあります。

2020_110800522020_11080061
2020_110800632020_11080068
2020_11080075
 メニューは、3か月に一度変わり、担当するシェフは、半年に一度変わるようで、この時は、秋メニューでした。きのことフォアグラのスープが個人的に気に入りました。イクラのはらこ飯風がこの日のメインです。完全な洋食ではなく、和洋折衷にしているようです。

 2人掛け席は山側ですが、途中の海岸で、地元の人が大漁旗を振っていたり、景観徐行をしたりしていました。運転停車もなく、終点の久慈まで約2時間、どこにも停まりませんでした。ちなみに八戸線はこの列車の運行開始にあたって、徹底的に軌道改良を行なったらしく、ローカル線特融の揺れはほぼありませんでした。

2020_11080056(種差海岸)
 久慈到着後は、一旦改札の外に出る必要があります。とは言うものの折返し時間は1時間しかないので、道の駅まで行って帰ってきただけでした。

2020_11080101
 復路は、ホテルメトロポリタン盛岡監修のデザートビュッフェです。最初に、季節のデザートプレートが運ばれてきます。これは、乗車したとき、キッチンで並べられていました。栗のケーキがお気に入りです。

2020_11080113
2020_110801172020_11080119
 ビュッフェは、これまでオープンキッチンにホールのケーキなどを並べていたようですが、新型コロナ対策で、注文をして席まで持ってきてもらう方式になっていました。

 復路は、種差海岸や鮫など主要駅に停まります。降りることもできますが、終点の八戸まで乗り通しました。

 八戸の発車が11時頃、到着が16時頃なので、この日はこの列車に乗って、青い森鉄道で青森に移動して終わりましたが、是非また乗りたい列車でした。

400000202
400000201
400000203
400000204
 最後に、きっぷの話題です。「TOHOKU EMOTION」は旅行商品専用列車なので、きっぷは、契約乗車票となりますが、指定券のあった「フルーティアふくしま」と異なり、バウチャー券のみです。乗車時にこれを提示します。回収されると思っていましたが、確認するだけでした。ちなみに、往復乗車の旅客は把握しているようで、久慈で降りるとき、「お帰りもお待ちしております」と言われました。

***************************

 令和3年となり、新型コロナの影響が長続きする中、今年はどんな年になるのかよくわかりませんが、少なくとも、今まで通り、旅には出かける、いや、政府のGoToトラベル事業継続が決定したこともあり、むしろ頻度が上がると思います。今年も良い年になることを切に願いつつ。。