カテゴリー「補充券」の17件の記事

2024年1月 1日 (月)

IRいしかわ鉄道車補

 新年あけましておめでとうございます。最近あまり更新しておりませんが、今年も御贔屓にしていただけると幸いです。

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今年3月に北陸新幹線が敦賀まで延伸開業し、北陸本線は、敦賀~金沢間がIRいしかわ鉄道と、ハピラインふくいに移管されます。移管前のきっぷ関係収集のため、昨年の10月末と11月中旬に、北陸へ行っていました。黒部峡谷トロッコ電車には乗りましたが、それ以外、いっさい観光せず、金沢駅は10回以上通過しましたが、駅の外にすら一歩も出ることなく、ひたすら乗ったり降りたり、きっぷを買ったり変更したりしていました。

 IRいしかわ鉄道と、あいの風とやま鉄道は、金沢~富山間で直通運転をしていて、車両も相互乗り入れです。乗務員も富山~金沢間通し乗務で、車両と乗務員の会社は基本的に一致しています。両社ともに、車掌がこまめに車内巡回をしていて、無札の客や、乗り越しの精算対応に当たっています。端末の配備はなく、いずれも補充券を切っています。あいの風とやま鉄道の補充券は、当初JRの出札補充券類似の様式でしたが開業から3年ほどで、自社様式に改められています。こちらは、駅名も手書きするものです。

 一方で、IRいしかわ鉄道の車補は、発着駅が予め印刷されていて、その中にない駅発着で発行するときは空欄に手書きする様式です。金沢以南の北陸本線が移管されると当然様式が変わるはずです。今は「JR北陸本線」として、松任や美川、小松の記載があります。

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 車内補充券なので、車掌乗務列車かつIR車両運用でなければ買えません。あいの風車の方が本数が多いです。津幡から乗って、津幡森本の乗車券を原券に、美川までの乗り越しを申し出ました。津幡森本間は駅間が長く、車内巡回をすることが多いそうです。

 私は金沢で途中下車しましたが、JR線内は、ワンマン列車であっても無人駅での集札や運賃収受はせず、全ドア開放をしているので、美川まで行っても普通に持ち帰れます。IRいしかわ鉄道をはじめとする第三セクターは運賃収受をしっかりやっている印象があるので、移管されても全ドア開放なのかは少し気になります。

 なお、IRいしかわ鉄道の延伸開業パンフレットをもらいましたが、それによると、現行のマルス設置駅には、マルスが残置するようです。新幹線駅併設でない松任も残ります。一方で、森本と東金沢は無人化の方針だそうです。

 

***2024年1月21日追記***
元旦に発生した能登地方地震の被害にあわれた方にお見舞い申し上げます。
このブログで発生した収益は当面の間、全額石川県能登地方に寄付する方針を決めました。

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2022年12月 4日 (日)

新大村諫早間の経路変更

 新幹線と、それに並行する在来線は基本的に同一路線として扱いますが、新幹線単独駅が存在する区間は別路線として運賃計算を行ないます。根拠条文は、旅客営業規則16条の2です。1項において、同一路線とみなす区間が、2項で別線扱いの区間が、それぞれ列挙されています。並行する在来線が存在しない区間、例えば、北陸新幹線の高崎~金沢間などは。単一の路線として運賃計算をする旨が16条の4に規定されています。

 さて、9月23日に西九州新幹線が開業しました。西九州新幹線の扱いがどうなるか見てみます。

・同一路線扱い(16条の2)
 長崎本線の諫早・長崎間(現川経由)と、西九州新幹線

・単一路線扱い(16条の4)
 西九州新幹線 諫早・武雄温泉間

・別線扱い
 対象なし

これだけ見れば特になにも思いませんが、諫早~新大村間は、大村線が並行しています。ここは、条文を見る限り、単一路線扱いです。別に定められた条項等は存在しません。なぜ?という疑問が湧きました。

 まず、大村線は地方交通線で、一方西九州新幹線は、全線幹線扱いです。諫早~新大村間の運賃を比べてみると、大村線経由は300円、西九州新幹線経由は280円となります。個人的にはこれが理由かと思いました。

 地方交通線を並行在来線とみなす区間として、山陽新幹線の徳山~広島間が挙げられます。厳密にはその一部ですが、岩徳線経由とみなしていますが、西九州新幹線の事例とは事情が異なります。つまり、この区間を岩徳線経由としているのは、光経由の山陽本線を並行在来線とみなすより、距離が短く、いわば旅客有利となることがあります。山陽本線で徳山~岩国間を通過する場合も、岩徳線経由で計算します。この方が運賃が安いため、そのように定められています。

 では、西九州新幹線の諫早~新大村間について考察してみます。営業キロ、擬制キロを見てみます。

 西九州新幹線経由:12.5km
 大村線経由   :15.3km

 西九州新幹線と大村線を同一路線とみなし、大村線経由で運賃計算をすることになると、運賃計算の基礎となる距離数が増えます。これでは旅客に不利です。逆に、大村線の当該区間を幹線扱いにするか、当該区間に特定運賃を設定する(これでは根本的な問題は解決しませんし、前後の区間を含めて特定運賃を設定する必要が生じるなど、手間がかかりすぎます)ことで問題解決を図ることも理論上は可能です。

 理論上は、と書いたのは、別線扱い、正確には新幹線を単一路線とすることで、なにか不都合が生じるかを考えればわかります。新幹線経由の方がキロ数が短くなるから、といっても新幹線に乗るには別途特急券が必要ですから、結果として高くなります。よって、乗車券の値段だけで乗車経路を決める人はまずいないです。そうすると、99.9%の旅客は実乗車経路通りの乗車券を買うでしょう。そうすると、不都合が生じる、言い換えれば、精算が生じるのは、大村線経由と西九州新幹線経由相互間で乗車経路を変更した場合、つまり区間変更(経路変更)をした場合くらいしか考えられません。こんなことをする人も実務上ほぼいません。

 以上の考察から明らかなように、面倒な手続きをしなくて済み、かつ弊害もほぼ存在しないことから、同一路線扱いにしなかったのだと思います。

 では、実際に区間変更をしてみます。原券は、長崎~吉塚(経由:長崎・新幹線・武雄温泉・佐世保線・長崎線・鹿児島)です。これを持って、長崎から新幹線に乗り、諫早で降りました。乗換改札に人がたまたまいなかったので、改札を出て、窓口で、大村線経由にする旨の区間変更を申し出ました。

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 小倉博多間は経路変更が必要なのは知ってるけど、ここもそうなの、とかどっかに電話しながら補充券を書いてくれたので、区間変更券の常備券は存在せず、本社側からも経路変更が必要になることは特に周知されていないような気がしました。差額の20円を支払ってお礼を言い、大村線の快速シーサイドライナーに乗りました。ちなみに新大村の在来線改札は無人なので、新幹線経由の乗車券でそのまま乗ってきても特に差額収受ということにはならず、それすら誰も気づかないまま外に出て終了となると思います。

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2022年10月16日 (日)

留萌線一部廃止と石狩沼田の簡易委託

 留萌線の一部廃止が、来年3月末でほぼ決定してしまいました。「ほぼ」というのには鉄道営業法上の細かい規定が絡んでいます。まず、JR北海道としては、留萌線の石狩沼田~留萌間について、令和4年8月30日、国土交通大臣宛に、鉄道事業の廃止届出を行なっています。同法第28条の2の規定により、「廃止の日の一年前までに、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない」とされているので、届出上の廃止日は、1年以上先の令和5年9月30日とされています。

 しかし、同条4項の規定により、上記の廃止日は繰り上げることができます。繰り上げるための要件は、2項、及び3項に規定されており、2項では「関係地方公共団体及び利害関係人の意見を聴取」し、3項において、「前項の規定による意見聴取の結果、第一項の届出に係る廃止の日より前に当該廃止を行つたとしても公衆の利便を阻害するおそれがないと認めるときは、その旨を当該鉄道事業者に通知する」としており、当該通知を受けた場合、廃止日を繰り上げることができる、とされています。要するに、沿線自治体と住民その他の反対意見がなければ、繰り上げることができます。札沼線の一部廃止の時もそうでしたが、(詳しくは、こちらを参照)JRとしては最初から、繰り上げ後の日付で廃止の交渉を行ない、届出上の廃止年月日は同法の規定に基づく、いわば形式上のものとしています。法の趣旨としては、鉄道事業の廃止は、沿線自治体に多大な影響を及ぼすことから、原則1年以上の時間をかけてじっくり協議しなさい、繰り上げは例外措置、ということと推察しますので、最初から1年に満たない期日で交渉を進めるのは拙速なようにも思いますが、個人的な見解です。

 沿線自治体等の意見聴取の結果として繰り上げが認められないことはまずないので、予定通り、来年令和5年3月31日で留萌線の石狩沼田~留萌間は廃止となることと思われます。

 留萌線の廃止協議は、沿線自治体で温度差が激しく、留萌市は廃止賛成、むしろさっさと廃止して、留萌駅跡地の再開発をしたい意向の一方で、沼田町、秩父別町、深川市は反対、という情勢で、北空知3市町が、石狩沼田までの存続を求める、一部廃止なら賛成の立場を変えず、結局、深川~石狩沼田間は2025年度を目途に廃止、という方向で落ち着いたようです。

 正直、この結論は意外でした。石狩沼田まで残すとなれば、同駅に折り返し用の信号設備を整備する必要があります。石狩沼田は、以前は交換駅で、更に昔は札沼線の接続駅でしたが、今は単なる棒線中間駅に過ぎません。信号設備新設の負担を避けたいJR北海道はあくまでも全線廃止を前提に議論していたので、当分協議はまとまらないだろうな、と思っていました。

 実際の廃止協議も2020年10月の段階で、部分廃止の案が出され、各市町が持ち帰り調査検討することとなり、2022年7月21日の協議においても、各首長は結論を出さず、持ち帰り、となっていました。この時に、留萌までは翌年3月末、石狩沼田までは2026年3月末という明確な期限が出されました。協議を続ける、とされたことから、まだ揉めるだろうな、と思っていましたが、8月30日の協議で容認されました。個人的には急に決まったな、という感想です。

 確かに留萌線に乗っていると、深川発車時点ではそこそこ乗っていますが、石狩沼田まででほぼ全員降りてあとは空気輸送になります。峠を越える山間部に集落はほぼなく、乗車は当然ゼロ、山間部を抜けると、いきなり留萌市街地に入るので、乗客が増えることなく留萌に着きます。これでは石狩沼田から先はいらない、と言われても仕方ないです。

 留萌市内の通学需要は沿岸バスが担っていて、沼田町では通学需要の話が出ますが、留萌市では殆ど出ていません。そのうえ、深川から留萌までは沿岸バスの留萌旭川線が国道を走っていて、中央バスの都市間バス高速るもい号が、深川留萌道を走っています。高速るもい号は、深川市街と留萌市街相互間で乗降ができます。

 北海道における鉄道の強みは、冬期間の運休の少なさと定時性にあるとされてきましたが、近年ではその傾向も変わり、特に留萌線は、吹雪で、冬はほとんど運休しています。バスは走っています。実際、今年の冬に、留萌線が運休していたとき、高速るもい号で、札幌から留萌まで乗りましたが、バスは、市街地にこまめに停留所があるので、降りたいところで降りられます。所要時間も大差ありません。しかし、鉄道ではそうは行きません。駅にしか着きません。しかも留萌駅は町の端部にあります。たまにしか乗らない旅行者の私でもバスの方が便利だな、と思うので、日常利用ではなおさらでしょう。一介の鉄道ファンとして鉄道は残ってほしいですが、現実は厳しいです。

 国道を並走する沿岸バスは、秩父別町経由で、沼田町は通りません。一方で、中央バスが深川沼田線を走らせています。要するに全線で既に代替交通機関が存在していることも、廃止が急に進んだ理由の一つだと推測しています。

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 来年4月以降の終着駅となる石狩沼田駅は、簡易委託駅です。常備券と、補充券の両方が設備されていて、料補もありますが、指定は出せません。乗車券は、委託契約上、道内なら出せるそうですが、備え付けの早見表に乗っている区間しか作れないようですが、他駅発でもできなくはないそうです。

 余談ですが、留萌線を減便したときに、深川から石狩沼田までの通勤通学需要を補填するため、定期券所持者専用で、朝深川行き、夜石狩沼田行きのバスが運転を始めています。駅に掲示がありました。時刻表には載っていません。

 冬の臨時列車がまだ発表されていませんので、なんともわかりませんが、さよなら留萌線号みたいな臨時列車は出るんでしょうか。

 

 

2020年7月 8日 (水)

おれんじ鉄道 佐敷駅

 7月4日未明の大雨によって、熊本県八代市、人吉市を始めとする球磨川流域が大規模な洪水被害に見舞われました。被災者の方には、お見舞い申し上げます。ここ数年、毎年のように梅雨時期になると、どこかしらで河川の氾濫、土砂災害が発生しています。今回の浸水被害では、球磨川に沿って走る肥薩線や、有明海沿いの肥薩おれんじ鉄道も被災しています。特に肥薩線は、この記事を書いている7月5日夕刻時点で、橋梁が3本崩落しているなど、仮に復旧するとしても、年単位になることが予想されます。

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2019_03110063 (佐敷駅)
 おれんじ鉄道の方も、佐敷駅構内が浸水するなど、わかっているだけで相当の被害を受けているようです。

 浸水した佐敷駅では、昨年3月に「おれんじ食堂」に乗った際、窓口で収集用のきっぷを買っていました。補充券2種類を出してもらい、また列車に乗り込んだように思います。こんなことをしている人は他にいませんでしたが。

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 つい先日、JR九州の新しい観光列車「36+3」の概要が発表され、毎週木曜日には、肥薩おれんじ鉄道経由、博多発鹿児島中央行き、という列車が走ることになっています。運転開始は今年の10月頃ということで、それに先立ち、先週の土日から、787系6両編成が、おれんじ鉄道線内を試運転していました。787系がこの区間を走るのは実に16年ぶりだそうです。当時運転していた乗務員がハンドルを握ったのかどうかは定かではありませんが、いよいよこれから、という時の被災です。

 運転再開がいつになるのか、恐らくまだ被害の全容もつかめていない状況だと思いますが、早く元通りになることを祈るばかりです。

 

 

2020年1月 1日 (水)

津南駅

 令和2年、新年明けましておめでとうございます。

 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。今年もマイペースに続けていくつもりですので、どうぞお付き合いくださいませ。

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 さて、新年1本目は、新潟県から。

2019_08040237 (津南駅)

 津南駅は、飯山線の駅で、津南町にあります。駅は簡易委託で、「リバーサイド津南」という温泉施設と一体になっています。というより、温泉施設の中に駅が併設されている、という印象です。外観も「津南駅」より「リバーサイド津南」の方が目立っています。

 津南町の中心部は、信濃川を挟んだ対岸にあり、国道405号線の橋で結ばれています。バス路線も駅前まで入ってくるものもありますが、大半は中心部経由で、駅には来ません。中心部を通るバスに乗ると、インスタ映えで人気な清津峡を通り、越後湯沢に抜けるバスがあったりします。

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2019_08040239 (窓口周辺)
 駅の乗降客数は100人前後ですが、POS端末による出札を行なっています。料金補充券の取扱いもあり、窓口には、全国のJR乗車券、特急券、寝台券を発売している旨の掲示があります。
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 夏の長岡花火を見た帰り、小千谷の知り合いに車で送ってもらい、ここから飯山線に乗りました。丁度来る列車が全車指定の観光列車「おいこっと」だったので、指定券を購入することにしました。簡易委託で指定を頼むと、15分くらいかかる駅が多い中で、ここは鉄道電話でどこかへ電話をして、ものの5分で書き上げました。私が知っている中では、恐らく最速です。甲斐大泉も早かった記憶がありますが。長野支社管内は馴れているのか、早い印象です。
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 出来上がった指定券は、列車名の「おいこっと」が判子押しなのがいいです。発着駅名も含めて、ほぼゴム印で済むので早かったのかもしれません。

 ついでに、長野から高崎までの新幹線乗車券も買いました。高崎から水上の「SLぐんまみなかみ」の網棚に三脚を忘れてしまい、高崎駅に取りにいく、という用事ができたので、中央東線経由ではなく高崎周りで帰路に着いた次第です。

2019年8月28日 (水)

北常盤

2018_07290166 (北常盤駅)
 北常盤駅は、奥羽本線の川部から青森方に1駅行ったところにあります。南津軽郡の旧常盤村(現在は藤崎町)の中心駅で、1983(昭和58)年以降、簡易委託駅として、乗車券、指定券の発売が行なわれています。

 駅は、コミュニティ施設と同居しており、改札口の右手にきっぷ発売窓口と事務室があります。駅舎の大半はコミュニティ施設で、駅の待合室も兼ねています。

2018_07290167 (窓口は右手)
 弘前発青森行きの5両編成普通列車から降りた私は、跨線橋を渡り、窓口に向かいました。窓口には、津軽弁を話す委託のおばちゃんがいました。帰省に使う東海道新幹線の新幹線特急券と、通勤用の自由席特急券をお願いしました。

 「のぞみ」号の指定券は取り扱ったことがないらしく、時刻表を見ながら、「5030円で合ってるかい?」と聞かれました。たぶん合ってる、と答えると、POSをたたきながら、ん?値段が違うべ、と言いました。4820円にしかならんべ、と言っていると、もう一人、おばちゃんが戻ってきました。2人で時刻表のピンク色のページを見て、5030円だ、と。

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 お兄さん、この機械わかるかい?と聞かれ、画面を見せてくれました。券種のところが「ひかり・こだま」になっていたので、「のぞみ指定席かなんかあります?」と言いました。あったべ、値段も合ってる、と言って、やったことないから、と料補を書き始めました。こちらは手慣れたもんで、ささっと書き上げてくれました。

 このあとどこ行くん?と聞かれ、田舎館村の田んぼアート見に行きます、と言うと、あれは見事なもんだよ、と教えてくれました。ちなみに、どっかこのあたりで昼ごはん食べられるところは、駅のコミュニティ施設があるけれども、日曜だから休み、田舎館に行った方がよい、と言われました。

 駅を出て、すぐ右手に藤崎タクシーの営業所があります。1台いいですか、と声をかけると、ドアを開けたままこちらへ走ってきました。 田舎館村の村役場までは15分、1400円ほどでした。暑い青森の夏空の下を歩かずに済みました、、

2019年5月19日 (日)

3月16日「かいじ123号」

  また続けて中央快速線特急列車の話題です。いつも使っている路線だけあって、いろいろとネタがあるもので、、、

 ダイヤ改正の際に、日付を跨いで運転される列車には、いわゆる「補充券案件」が数多く存在します。例えば、改正による時刻変更で、前日の列車(指定席あり)が、深夜、日付を超えて走っている区間を、翌日の列車が日付変更前に通る、というような場合、同一区間を、同一列車名の列車が走ることになるので、マルスにエラーが生じます。これが広範囲に渡るのであれば、号数を臨時に変更するなどして対処することもあります(定期列車時代の快速「ムーンライトながら71号」等)が、深夜の、そこまで利用客の多くない時間帯であれば、前日の列車の一部区間に発売制限を掛けて、都合の悪い区間は、発売不可という措置が取られることもあります。とはいえ、列車は走っているのですから、もし仮に、当該区間だけの指定券を購入しようとする旅客が現れた場合、指定券を発売しないわけにはいきません。そこで、前後の区間の席を押さえる等して、座席を確保したあと、補充券による発券がなされることが多いです。

 

 3月の中央線特急列車でも、似たような現象が生じました。日付を超えて運行されるのは、改正前日の2245に東京駅を出発する「かいじ123号」甲府行きです。大月0005発で日付を超えます。翌日の列車は時刻変更もなく、更に列車名が「かいじ23号」に変わります。しかしながら、全車指定席になり、自由席の設定がなくなります。

 自由席特急券は、任意の区間、即ち仮に特急列車の走っていない区間であっても発券は可能、という話を聞いたことがありますが、その真偽はともかくとして、マルスでは、少なくとも中央線の特急運行区間に関しては、3月16日以降、自由席特急券は発券不可、の設定になっているようでした。

 そのため、3月15日東京駅発の「かいじ123号」に、大月から自由席利用で乗車する場合、日付は3月16日となっていることから、マルスは、当該区間の自由席特急券につき、発売不可、を返答しました。こうなると、補充券による発券となります。

 自由席ですので、車内発売が可能です。Twitter等を見ていると、車内に誘導された、窓口では発券しないことになっている、と言われた、などといった書き込みがありましたが、わざわざ事前に補充券で発売する意味は余りないので、確かにこれも一理ある気がしました。

 そこで、私は、立川駅の窓口に行き、「3月16日 かいじ123号 大月→甲府 自由席」と記入した申込書を黙って出しました。窓口氏は、ささっとマルスを叩き、「再考」が返って来たのをみて、「前日15日に東京駅を出るかいじ123号に大月から乗る、ということでよろしいでしょうか」と私に確認を取った上で、奥に下がり、料補を持って来ました。

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 5分くらいで出来上がりました。券面を見ると、記事欄に、「3月15日東京駅始発の「かいじ123号」大月~甲府に限り有効」と書かれていました。どうもこれを記入するよう、通達で定められていたようです。紙を見ながら書いていたので。。

 私は、買っただけで、実際に乗りには行きませんでした。甲府に深夜1時前に降ろされてもどうしようもないですし、、、いつも通りがらがらだったようです。

2019年5月11日 (土)

分倍河原発行の片道補充券

 京王線と南武線の乗換駅である分倍河原は、京王電鉄が管理する駅です。朝の通勤ラッシュ時には、乗換客が殺到して、狭い階段、通路がいつも渋滞しています。JRの改札はありますが、JRの駅員はいません。改札も京王がやっています。時刻表等では、みどりの窓口も無いことになっています。実際、ありません。JRの自動券売機はありますが、指定席券売機もありません。

 しかし、京王の定期券売り場で、当日、当駅発の乗車券、及び回数券については発売しています。マルスもPOSも無いので、補充券による発行です。だいぶん前に、分倍河原発行の往復補充券を紹介しましたが、今回は、片道補充券(片補)です。

 運賃を確認するために、府中本町へ電話をしているそうで、一旦、手作業で運賃を調べてから、電話をしています。この日、行った時は、「なかなか電話が繋がらないので、いつ出来上がるかわからないですけど、いいですか」と予め確認されました。もう一人待っている人がいて、出来上がるまでの間、暫く話していました。昨年3月限りで廃線になった三江線経由の乗車券を頼んだようでした。30分かそこら待って、ようやく出来上がりました。
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 発駅、発行駅が分倍河原で固定された補充券です。ちなみに、区間、経路の制限は無いそうです。100kmまでの区間は、券売機で買えるので対象外ですが、、、

 私は、このきっぷを持って、あしかがフラワーパークに行ってきました。まだ、「あしかがフラワーパーク」駅が出来る前だったので、隣の富田から歩きました。藤祭りが有名ですが、冬期間は、イルミネーションをやっています。

 

 京王分倍河原の定期券発売窓口は、4月12日で閉鎖されました。3月20日付で、プレスリリースが出ていました。なお、同プレスリリースの中で、「JR線の定期券以外の乗車券類につきましては、引き続き発売いたします」との記載があることから、補充券による乗車券の発売は、継続されるようです。聞いた話では、改札で申し出れば、対応してくれる、とのことでしたが。

 余談ですが、旧桜菊観光(京王観光大阪支店等)が、指のみ機能を悪用して、JRから1億8000万円の賠償請求された事件で、京王観光とJRとの発券委託契約が解除になりました。京王観光では今後一切JR券が発券できなくなるようです。この問題が発覚したのが今年の1月で、処分が決まったのが先月4月暮れでした。分倍河原の本件がこれと関係があるのか無いのかはよくわかりません。JR券の発券はこれま通り続ける、としているので、単なる偶然なのでしょうか、、、

2019年5月 5日 (日)

広島~海田市間「折返し分岐の特例」適用除外

 旅客営業規則(以下「旅規」)において、新幹線は、並行する在来線と原則的に同一の路線として扱うこととされています。(旅規16条の2第1項)ただし、新幹線単独駅等の前後の区間については、別線扱いとすることが定められています。(同条2項)この規定により、例えば、芦屋→新大阪→新神戸、といった経路の乗車券について、片道として発売できるようになります。(図1)新幹線の単独駅のある区間を並行在来線と同一路線として扱うと、当該駅の取扱いに不都合が生じるからです。

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 また、並行在来線が第三セクター化、又は廃線となっている区間(九州新幹線の新八代~川内間等)については、単独路線として扱うことも定められています。(同16条の4)

 16条の2 第2項の規定により、新幹線単独駅を含む区間は、在来線と別線扱いにすることとされているので、当該区間の在来線から分岐する路線への乗車券について、明文の規定はありませんが、当該単独駅を発駅、又は経由して、当該分岐路線への片道乗車券を発売できることになります。つまり、例えば、さきほど例に出した、新神戸を含む区間について考えてみると、次のような乗車券を片道で発券できることになります。200km以上の場合に適用される特定都区市内制度については、とりあえず無視します。

 「新神戸→西明石→尼崎→福知山線方面」(図2)

2 (図2)

 次に、いわゆる「折返し分岐の特例」について、考察してみます。「折返し分岐の特例」とは、分岐駅が主要駅ではなく、その近辺の駅で、特急列車等の優等列車が、当該分岐駅を通過する場合に、当該分岐線方面へ乗り換える旅客について、当該分岐駅から当該主要駅までの区間を折返して乗車することを認める特例です。当該折返し区間の運賃は不要です。

 本来であれば、折返し部分が存在すれば、片道にならず、分岐駅~主要駅間を別途として往復の運賃を収受することになりますが、列車の停車駅の都合で通過しているので、折返しを認める、という趣旨です。ただし、折返し区間内での途中下車はできません。

 これが認められる区間は、旅客営業取扱基準規程(以下「基準規程」)151条に列挙されており、この区間以外は認められません。大体、特急の走っている区間が該当しています。

 例:「米原→山科(通過)→京都→福井」(図3)

3 (図3)

 この2つが、組み合わさるとどうなるか、というのが、この記事での話題です。組み合わさ区間は、例えば、徳山~岩国間(新岩国駅があるため、別線になり、かつ、櫛ヶ浜~徳山間の折返し特例が存在する)などがこれに該当します。例に挙げた、徳山~岩国間などは、この2つの規定が競合して、ややこしい問題が発生する、ということはありません。なぜなら、新岩国駅を経由する場合は、山陽本線(又は岩徳線)と別線扱いとする、という旅規16条の2第2項の規定が適用されて、それで終了となるためです。(図4参照)

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 ところが、これら2つ、すなわち、「別線扱い」と「折返し分岐の特例」が競合する区間、というのがあります、三原~広島間です。

 なぜ、このような競合が発生するのか、というと、基準規程151の2、という規定が存在するからです。条文を引用すると、

「矢野以遠(坂方面)の各駅と三原以遠(糸崎方面)の各駅相互間を乗車する旅客が、新幹線に乗車(広島・東広島間を除く。)する場合は、規則第16条の22項の規定にかかわらず、三原・広島間を同一の線路とみなして、広島・海田市間において、途中下車をしない限り、別に旅客運賃を収受しないで当該区間について乗車券面の区間外乗車の取扱いをすることができる。」

 この規定が意味するところは、東広島という新幹線単独駅が存在するので、本来であれば、旅規16条の2第2項の規定どおり、東広島経由の場合は、山陽本線と別線扱いとしなければならないところ、山陽本線と同一の線路とみなすことができる、ということです。

 ただし、同一路線とみなしてよいのは、海田市で分岐する呉線内各駅と、三原以遠(糸崎方面)とを新幹線、及び広島経由で乗車する場合に限る、としています。(図5参照)

5 (図5)

 なぜ、このような規定が存在するのかを考えてみます。結論からいうと、「折返し分岐の特例」との兼ね合いで出て来た規定です。海田市~広島間はこの適用があります。

 ここで、この規定が無かった場合を考えてみると、さきほど、徳山~岩国間の例でみたように、新幹線単独駅、ここでは東広島駅、を経由し、広島駅を通って、山陽本線海田市、そこから呉線に入り、安芸幸崎まで行く、という場合、新幹線と山陽本線は別の路線なので、海田市~広島間の「折返し分岐の特例」は、関係がないことになります。単に順路通り、片道乗車券になるだけだからです。

 しかし、東広島駅は、後から設置されました。(設置は1988(昭和63)年)同駅が設置されるまで、例えば、東京から、広島経由、安芸幸崎まで行く、という場合、「東京都区内→海田市→呉線」という片道乗車券を買い、新幹線で広島まで行って、折り返したとしても、海田市~広島間の折返し分岐の特例によって、同区間の運賃は不要でした。(図6)

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 ところが、東広島駅が開業したことにより、この区間を乗るには、「東京都区内→広島→海田市→呉線」の乗車券を買うことになります。「折返し分岐の特例」が適用されなくなり、海田市~広島間往復分が実質的に上乗せされた距離で運賃計算をすることになり、区間によっては、従来より高くなります。(図7)

7 (図7)
 これでは不都合が生じる、ということで、いわば「特例の特例」として、基準規程151条の2が規定されました。この規定があると、東広島駅は無視して、新幹線と山陽本線を同一路線とみなすことができるので、「東京都区内→海田市→呉線」という片道乗車券で、三原~広島間も新幹線に乗れ、海田市~広島間は、実際には新幹線経由なので通っていませんが、同条の規定に明記されているとおり、同区間の山陽本線に経由したものと擬制されます。「折返し分岐の特例」も適用され、同区間の運賃は不要です。よって、東広島駅の設置前と、設置後で、運賃が変わることはありません。(図5参照 )

5 (図5再掲)    

 しかしながら、基準規程151条の2をよく読むと、最後に、「できる」とあります。これは文字通り、「できる」のであって、必ず「しなければならない」わけではありません。このあたりの条文解釈は、行政法を学ぶとよくわかりますが、「できる」とある場合、同条を適用「しなくても」、なんら問題はありません。

 この条文を適用すると、1つだけ不都合があります。それは、条文内に明記されているとおり、「途中下車しない限り」という制約があることです。つまり、これを適用すると、例えば、広島では途中下車できなくなります。

 一方で、別線扱いを規定した旅規16条の2第2項だけを適用すると、広島は、経路上の駅なので、当然、途中下車できます。そうすると、広島で途中下車したい場合、基準規程151条の2は、適用したくありません。先述の通り、同条は、「できる」だけなので、適用しないことも可能です。そすると、「東京都区内→東広島経由→広島→海田市→呉線」という片道乗車券が買えることになり、広島でも、当然、途中下車ができます。(図8)

8 (図8)

 そういうわけで、条文の解釈を終えたところで、みどりの窓口へ行きました。「東京都区内→安芸幸崎(広島経由)」を申し込むと、海田市経由、基準規程151条の2を適用した乗車券が出て来ます。なぜなら、マルスは、自動的に同条を適用するからです。しかし、これでは困ります。

 そこで、「海田市~広島の特例を適用せずに」と言って、申し込みました。

 立川駅の窓口氏は、わかりました、と言うと、「東京都区内→西条(広島経由)」と、「東京都区内→安芸幸崎(広島経由)」の2枚を出して、経由を見比べました。前者は、「広島」が明記されます。なぜなら、基準規程151条の2の適用対象外(西条は、呉線ではないため)だからです。しかし、後者は、「海田市」までしか入りません。

 マルスの自動補正を解除してみたり、(いわゆる「補正禁止」)いろいろやっていましたが、マルス指令に問合せ、となりました。窓口氏は、「そんなことできません」とは言いませんでした。それで戻って来て、「規則上は、やはり発売できますが、機械でできないので、時間がかかります」とだけ言いました。それで、夜遅かったのもあり、できたら、電話してくれることになり、翌日受取りに行きました。

15100010
 で、出て来たのがこのきっぷです。マルスではできないので、補充券です。JR西日本のPOS端末だと、補正禁止で対応できるようですが、それは試していないので、よくわかりません。呉線内の駅では、「広島で途中下車する」旨を伝えれば、さっと発券してくれるようですが、東京ではそうも行かず、という感じでした。

 このときは、「瀬戸内マリンビュー」に乗って、しまなみ海道に行ってきました。その記事は、こちらでご覧ください。

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2019年3月30日 (土)

京王連絡の連続補充券

  社線連絡券は、発売できる券種が、社線ごとに定められており、旅客連絡運輸取扱基準規程の別表に一覧で記載されています。発売出来るのは、片道、往復、連続の、多くとも3種類で、片道のみの会社、連続まで全て発売できる会社など、様々です。一般的には、連続を扱える会社は、京王、京急など、一部に限定されており、数少ない印象です。

 さて、連続を扱える社線で、例えば、智頭急行や北越急行のように、マルスに運賃登録がなされている会社については、通常のJR券と同様に発売できますが、社線連絡券となると、金額入力(以下「額入」といいます)が必要な路線が、首都圏を中心に多く存在しています。

 では、額入の必要な社線連絡において、連続乗車券を発売しようとすると、どうなるのか、を考察していきます。というのも、一般的な額入は、マルスの「金額入力」画面から、社線との接続コード、社線の営業キロ、運賃を手入力し、JR部分は自動計算の上、発券されますが、この画面からは連続乗車券を発券できません。それでは、「連続」乗車券を発売する画面から入ると、今度は、額入ができません。

 そうすると、発売できないのか、ということになりますが、額入には、もう一つ、「基準額入力」という画面があります。この画面からは、JR部分、社線部分を含めて、全て手入力が必要となり、実質的に補充券に記入する内容を、ただマルスで打ち込んでいるだけのような操作が必要ですが、ここから入ると、連続乗車券も選択できるようです。ただ、経路情報や、連続「1」「2」の部分は手書きとなり、マルスには一切の情報が残らない、という難点があります。

 さきほど、「ようです」と書いたのは、私は、この方法での発券を受けたことがないからです。もう一つ別のやり方があります。ここまで来ると、もはやマルスでは出来ない、のとほぼ同義なので、補充券による発券をされました。

 東京駅の丸の内地下窓口で、「東京→下北沢(渋谷接続)」と「下北沢→代々木(同左)」の連続乗車券を依頼すると、まず窓口氏は、連続画面から入りました。そうすると経路情報は出て来るものの、金額が出ず、エラー。次に額入画面から入って、何もせず、奥に引っ込みました。そうして、少し時間かかりますけど、と前置きしたうえで、そのまままた奥に入りました。

 10分ほどして、できました、と2枚の出札補充券を出してくれました。POS端末でクレジットカード処理を行なって、終了です。「東C」の印を捺すのを忘れていますが、すぐ使うので問題ないでしょう。東京駅から、山手線外回りで渋谷に行き、玉川改札から出ます。有人通路を通りましたが、係員氏は、きっぷをしげしげと眺め、だいぶ経ってから、「みどりの窓口で買いました?」とだけ言いました。この短距離で補充券なので、不思議に思ったのかも知れません。
15200003 (連続1)

15200004 (連続2)

 京王井の頭線の改札は、あっさり通れました。下北沢で一旦降りて、用事を済ませ、再度京王の改札に向いました。すると、係員氏は、「えーっと、鋏、どこやったっけ」と改札鋏を探しだしました。てっきりスタンパーだとばかり思っていたので、文字通り「入鋏」されたときは、少々驚きました。首都圏の大手私鉄でまだ改札鋏が現役だとは思いませんでした。

 代々木の係員氏は、めちゃくちゃ丁寧に無効印を捺してくれ、なんかめちゃくちゃ大事にされたきっぷになりました。