カテゴリー「小記事・雑感」の18件の記事

2022年10月16日 (日)

留萌線一部廃止と石狩沼田の簡易委託

 留萌線の一部廃止が、来年3月末でほぼ決定してしまいました。「ほぼ」というのには鉄道営業法上の細かい規定が絡んでいます。まず、JR北海道としては、留萌線の石狩沼田~留萌間について、令和4年8月30日、国土交通大臣宛に、鉄道事業の廃止届出を行なっています。同法第28条の2の規定により、「廃止の日の一年前までに、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない」とされているので、届出上の廃止日は、1年以上先の令和5年9月30日とされています。

 しかし、同条4項の規定により、上記の廃止日は繰り上げることができます。繰り上げるための要件は、2項、及び3項に規定されており、2項では「関係地方公共団体及び利害関係人の意見を聴取」し、3項において、「前項の規定による意見聴取の結果、第一項の届出に係る廃止の日より前に当該廃止を行つたとしても公衆の利便を阻害するおそれがないと認めるときは、その旨を当該鉄道事業者に通知する」としており、当該通知を受けた場合、廃止日を繰り上げることができる、とされています。要するに、沿線自治体と住民その他の反対意見がなければ、繰り上げることができます。札沼線の一部廃止の時もそうでしたが、(詳しくは、こちらを参照)JRとしては最初から、繰り上げ後の日付で廃止の交渉を行ない、届出上の廃止年月日は同法の規定に基づく、いわば形式上のものとしています。法の趣旨としては、鉄道事業の廃止は、沿線自治体に多大な影響を及ぼすことから、原則1年以上の時間をかけてじっくり協議しなさい、繰り上げは例外措置、ということと推察しますので、最初から1年に満たない期日で交渉を進めるのは拙速なようにも思いますが、個人的な見解です。

 沿線自治体等の意見聴取の結果として繰り上げが認められないことはまずないので、予定通り、来年令和5年3月31日で留萌線の石狩沼田~留萌間は廃止となることと思われます。

 留萌線の廃止協議は、沿線自治体で温度差が激しく、留萌市は廃止賛成、むしろさっさと廃止して、留萌駅跡地の再開発をしたい意向の一方で、沼田町、秩父別町、深川市は反対、という情勢で、北空知3市町が、石狩沼田までの存続を求める、一部廃止なら賛成の立場を変えず、結局、深川~石狩沼田間は2025年度を目途に廃止、という方向で落ち着いたようです。

 正直、この結論は意外でした。石狩沼田まで残すとなれば、同駅に折り返し用の信号設備を整備する必要があります。石狩沼田は、以前は交換駅で、更に昔は札沼線の接続駅でしたが、今は単なる棒線中間駅に過ぎません。信号設備新設の負担を避けたいJR北海道はあくまでも全線廃止を前提に議論していたので、当分協議はまとまらないだろうな、と思っていました。

 実際の廃止協議も2020年10月の段階で、部分廃止の案が出され、各市町が持ち帰り調査検討することとなり、2022年7月21日の協議においても、各首長は結論を出さず、持ち帰り、となっていました。この時に、留萌までは翌年3月末、石狩沼田までは2026年3月末という明確な期限が出されました。協議を続ける、とされたことから、まだ揉めるだろうな、と思っていましたが、8月30日の協議で容認されました。個人的には急に決まったな、という感想です。

 確かに留萌線に乗っていると、深川発車時点ではそこそこ乗っていますが、石狩沼田まででほぼ全員降りてあとは空気輸送になります。峠を越える山間部に集落はほぼなく、乗車は当然ゼロ、山間部を抜けると、いきなり留萌市街地に入るので、乗客が増えることなく留萌に着きます。これでは石狩沼田から先はいらない、と言われても仕方ないです。

 留萌市内の通学需要は沿岸バスが担っていて、沼田町では通学需要の話が出ますが、留萌市では殆ど出ていません。そのうえ、深川から留萌までは沿岸バスの留萌旭川線が国道を走っていて、中央バスの都市間バス高速るもい号が、深川留萌道を走っています。高速るもい号は、深川市街と留萌市街相互間で乗降ができます。

 北海道における鉄道の強みは、冬期間の運休の少なさと定時性にあるとされてきましたが、近年ではその傾向も変わり、特に留萌線は、吹雪で、冬はほとんど運休しています。バスは走っています。実際、今年の冬に、留萌線が運休していたとき、高速るもい号で、札幌から留萌まで乗りましたが、バスは、市街地にこまめに停留所があるので、降りたいところで降りられます。所要時間も大差ありません。しかし、鉄道ではそうは行きません。駅にしか着きません。しかも留萌駅は町の端部にあります。たまにしか乗らない旅行者の私でもバスの方が便利だな、と思うので、日常利用ではなおさらでしょう。一介の鉄道ファンとして鉄道は残ってほしいですが、現実は厳しいです。

 国道を並走する沿岸バスは、秩父別町経由で、沼田町は通りません。一方で、中央バスが深川沼田線を走らせています。要するに全線で既に代替交通機関が存在していることも、廃止が急に進んだ理由の一つだと推測しています。

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 来年4月以降の終着駅となる石狩沼田駅は、簡易委託駅です。常備券と、補充券の両方が設備されていて、料補もありますが、指定は出せません。乗車券は、委託契約上、道内なら出せるそうですが、備え付けの早見表に乗っている区間しか作れないようですが、他駅発でもできなくはないそうです。

 余談ですが、留萌線を減便したときに、深川から石狩沼田までの通勤通学需要を補填するため、定期券所持者専用で、朝深川行き、夜石狩沼田行きのバスが運転を始めています。駅に掲示がありました。時刻表には載っていません。

 冬の臨時列車がまだ発表されていませんので、なんともわかりませんが、さよなら留萌線号みたいな臨時列車は出るんでしょうか。

 

 

2022年9月22日 (木)

在来線特急「かもめ」号グリーン車

 先ほど、長崎発着、最終の在来線特急「かもめ」号が、博多、長崎両駅を発車しました。運転時刻は次の通りです。

           博多        長崎
かもめ45号  2210 → 2400 
かもめ48号  2344 ← 2137

 博多発の「かもめ」号は、佐賀行きの101号がまだ残っているので、正確には、かもめ号の最終列車ではありませんが、長崎行きとしては最後です。下り長崎行き45号は、5分延で博多を出たそうです。

2022_08290426(長崎駅停車中の787系)
 散々書いてきたので、もう書きませんが、明日から新幹線「かもめ」号になります。先月乗り納めをしたとき、長崎行きは、885系の普通車に乗りましたが、せっかくなので、帰りは、787系のグリーン車にしてみました。肥前鹿島から用務客と思しき人が1人乗ってきたほかは、長崎から博多まで乗りとおしたオタクばかりで、DXグリーンと個室も埋まっていました。

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2022_08290431(長崎駅あれこれ)
2022_08290437(「特急かもめ」の表示)
 往路で眺めた有明海を再度眺め、肥前山口は通過して、博多に向かいました。ラストランの様子をTwitterで見ている限り、博多長崎両駅とも、予想していたほどの人出ではなかったような気もします。終着駅に着くのは、30分から1時間後ですが、最後まで何事もなく、走ってほしいものです。
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 ラストランと一番列車は単純に混んでいるので、避けているため、今日と明日は普通に家にいますが、来月末に、開業後の西九州新幹線に乗りたいと思っています。

 

 

 

2022年9月21日 (水)

特急「かもめ」

 いよいよ明後日、長崎まで西九州新幹線が部分開業します。当日に長崎入りすることは全く考えていませんが、前回に引き続き、長崎本線から無くなるものシリーズです。いきなり余談ですが、前々回くらいから、きっぷ券面以外の写真はクリックすると拡大します。そうすると本文表示のものが少しぼやけているような気がするのですが。。

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2022_08290308(885系「かもめ」長崎にて)
 今回は、特急「かもめ」です。「かもめ」の歴史は長く、戦前は、客車列車として東京~神戸間を走っていましたが、太平洋戦争の激化とともに、1943年には運転を終了しています。戦後は、京都~長崎間の気動車特急でしたが、山陽新幹線の博多開業の1年後、長崎本線の電化完成とともに、博多~長崎間の電車特急になっています。

 それから、JR化後に、783系「ハイパーかもめ」が登場したり、485系が引退したり、885系「白いかもめ」が運転を開始したりしながら、現在は、博多~長崎間と門司港~佐賀間を走る特急列車として、885系、又は787系で運転されています。783系が使われていた時は、特急「みどり」「ハウステンボス」と併結して、肥前山口まで合計13両編成で走っていたこともあります。

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 九州島内は、高速バスとの競争が激しく、博多(天神)~長崎間には、高速バス「九州号」と熾烈な争いがあります。特急「かもめ」にも、ネット予約専用の割引きっぷが3種類設定され、いつでも買える「九州ネットきっぷ」、3日前まで買えて変更もできる「九州ネット早特3」、7日前まで買えて変更不可の「九州ネット早特7」です。最安の「ネット早特7」は、正規料金(5590円)の半額以下の2340円です。「九州ネットきっぷ」は3150円で、これでも半額近いです。「九州ネット早特3」は、その中間の2550円です。これでも半額以下ですので、いかに競争が激しいかがよくわかります。

 ちなみにバスは正規料金で2620円、所要時間は、博多から2時間半、天神から2時間10分です。特急「かもめ」は、列車によりばらつきはあるものの、約2時間ですので、早特きっぷを買って、丁度互角です。バスは天神直通ですので、天神に用事がある場合は、渋滞していなければ、バスに軍配が上がるかもしれません。
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2022_08290297(見納めの「諫早」「浦上」)
 博多1015発の「かもめ91号」は、多客期のみ運転の臨時列車ですが、スジ的には準定期列車です。車両は885系で、窓側が埋まるくらいには乗っていました。ちなみに、佐賀で少々降りたほかは、ほぼ長崎まで乗り通していました。

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2022_08290283(博多にて)
 肥前鹿島までは新設の特急「かささぎ」が乗り入れますが、その先、有明海を望み、雲仙も見えて、885系の振り子が本領を発揮する曲線ばかりの長崎本線を特急列車が走るのは明日までで、真っ白な高架の長崎駅に入線するのもこれで最後です。電化設備が撤去されるので、リバイバルとかも、おそらくできません。

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2022_08290315(長崎駅の掲示類)
 在来線特急としての幕を下ろす「かもめ」は、9月23日から新幹線になります。所要時間は最速列車で30分短くなり、1時間半、その一方で、ネットきっぷ系も約1000円値上げされます。「リレーかもめ」は、平坦直線の多い区間のみを走るようになることから、885系充当列車は大幅に減り、8両編成に増強された787系主体になります。

2022_08290319(在来線乗り場。「博多方面」の表示は残るのか。)
2022_08290322(工事中の新幹線乗換改札)
 明日、博多駅から最終列車が出ますが、グリーン席全席と普通席7割近くがパックで抜かれていたそうです。その是非(非だと思っていますが)はともかく、何事もなく、最後まで安全に走ってほしいものです。

 

 

2022年9月19日 (月)

西九州新幹線開業前の浦上駅

 今週の9月23日に、西九州新幹線が部分開業します。武雄温泉乗換や、途中駅の営業体制の是非など、いろいろと言われていますが、とりあえず置いときます。西九州新幹線が開業するので、これまで博多長崎間を通しで走っていた特急「かもめ」は、博多武雄温泉間の特急「リレーかもめ」と、新幹線の「かもめ」になります。

 それに伴って、肥前鹿島~諫早間では、特急列車の運転がなくなり、なおかつ、特急が来なくなる、肥前浜から長崎までの長崎本線は、全て気動車運転となり、架線はそのうち撤去されます。長崎近郊の列車は、今でも大村線直通の方が本数も多く、諫早までの区間列車でも、気動車列車が多くあるので、架線撤去自体は特段驚きではありませんでした。ただ、諫早~肥前山口(江北)間の気動車列車に、どっかから持ってきたキハ40系列を少しだけリニューアルして投入するとは思いませんでした。せめてキハ200系列とかだと思っていましたが、本当は経営分離してしまいたかったJR九州のやる気のなさを具現しているのか、などと勘ぐってしまいます。

 いずれにせよ、長崎駅から在来線特急は消え、電車も無くなります。先月末に、これら無くなるものの見納めに行ってきました。長崎まで885系「かもめ」で直行し、折り返し、817系の鳥栖行きで浦上へ行きます。浦上駅は、高架化されたばかりの駅で、特急も全列車停車します。ところが新幹線の開業後は、ローカル列車だけになり、ホームは4両もあれば十分なので、特急対応の残り4両分は、仮設でした。

2022_08290328 (817系。長崎にて)
2022_08290334(長崎駅留置線)

 長崎から浦上までは、路面電車の方が便利なので、こんな区間でわざわざJRに乗る人はほぼいません。ちなみに、新幹線開業後に発売されるネットきっぷは、浦上発着の設定もあり、これらは、長崎まで新幹線に乗って、折り返せるそうです。本数の少なさがネックですが。

 浦上駅は、窓口と多機能券売機が1つずつあります。券売機では、特急券も買えます。長崎までの特急券設定はありません。路面電車に乗ってください、ということでしょう。

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2022_08290344(浦上駅あれこれ。クリックすると拡大します)
 諫早まで乗るので、乗車券と特急券をセットで買いました。そうすると、どちらも85mm券になります。乗車券には、「長崎線経由」と記載があります。特急が無くなると、この口座も設定が無くなると思われます。

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2022_08290383(長崎行きの885系「かもめ」)
 特急券は、何気ない普通の券売機券ですが、これももちろん買えなくなります。ホームに上がって、さっき乗ってきた885系の折り返し「かもめ」に乗りました。

 

 

2022年6月27日 (月)

えきねっとの東海管内受取

「花たび そうや号」は1回休みです。
 今日は、えきねっとの話題です。これまで新えきねっとについて、いろいろと書いてきました。
 過去回はこちらです。

  新えきねっと攻略(基本編)

  新えきねっと攻略(応用編)

  新えきねっと攻略(その後)

今年の4月1日から、受取箇所がJR東海管内に拡大されました。新大阪や京都、名古屋といった新幹線主要各駅には、「えきねっとは取り扱えません」と大きく掲示されていて、利用者、係員双方にとって不都合だったので、大きく改善されました。

ただし、指定席券売機のみで、「JR全線きっぷうりば」は対象外です。e5489のように、JR東海管内が含まれる予約であること、また、えきねっとを北海道内で受け取るときはJR東海管内を含まないことといった、エリアによる制約はありませんが、一部の予約については取り扱えません。取り扱えないものは、次の通りです。(えきねっとのプレスリリース(2022年2月22日付)より抜粋)

○ チケットレス商品
 ・新幹線 e チケットサービス
(「えきねっとトクだ値」「往復割引」「大人の休日倶楽部割引」「株主優待割引」「JRE POINT 特典チケット」「JRE POINT アップグレード」を含む)
 ・えきねっとチケットレスサービス(「JRE POINT 特典チケット」を含む)
 ・えきねっとチケットレス座席指定券
 ・えきねっとトクだ値(チケットレス特急券)

○ 紙のきっぷ
 ・えきねっとトクだ値
 ・大人の休日倶楽部割引
 ・株主優待割引

○ おトクなきっぷ 

 要するに、JR東日本、及びJR北海道完結の割引商品、ということです。JR東海管内で受け取れなくても、特に困らなさそうなものばかりです。境界駅の券売機等で受け取れますので。

 また、受け取れるのは指定席券売機のみで、設置されている駅は、今年4月1日時点で次の画像の通りです。(上記プレスリリースより抜粋)クリックすると拡大します。
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東日本管内であれば、主要駅と、首都圏各駅にはほぼ指定席券売機が設置されているので、これを見た感想としては案外少ないんだな、というところです。

 さっそく沼津駅で受け取ってきました。事前決済だと、(2-タ)になるのは、北海道で受け取ったときと同じです。駅支払いにすれば、(3-タ)になります。
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 個人的に、えきねっと事前決済をすれば乗車券だろうが自由席特急券だろうがビューカードのポイントが3%溜まるので、積極的に、えきねっとで乗車券を買っていますので、東海管内や関西圏へ出かけるときには、これから重宝しそうです。JR西日本も、北陸エリアだけと言わず、大阪や三ノ宮でも受け取れるようにしてもらえるとよいのですが。

 

 

2022年1月 9日 (日)

窓口設置駅からの乗車票

 JR東日本は、JR各社の中で最も早くみどりの窓口閉鎖に取り組み、指定席券売機の設置を進めていました。昨今のコロナ禍で、西日本や九州も窓口削減を一気に進めています。東日本管内では、窓口のない駅から、列車に乗って、窓口のある駅へ行って、みどりの窓口でしかできない用事を済ませたい場合、運賃負担は旅客負担か、それとも乗車票をくれるのか、駅によってまちまちの対応でした。

 それが去年急に貼り紙を始め、みどりの窓口に用事がある場合、非設置駅から窓口のある駅までの運賃は負担しなくてよい、と公式に認められました。きっぷを買って乗車し、当該きっぷを窓口で提出して返金を受けるか、ICカードで入場して、窓口でその旨申し出るか、の2択です。

 帰りは窓口で乗車票がもらえます。それがこの乗車票です。区間も手書きです。特に記録は取っていませんでした。

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 ちなみに、往路ICカードで入場すると、返金は現金ではなく、改札に行くよう指示され、改札で帰りの乗車票とICカードを差し出すと、往路分の運賃相当額を改札端末でチャージすることで返金されます。そんな微妙な金額を端末でチャージできるとは思いませんでした。

 豊田はアシストマルスがありますが、POSが絡む処理は一切できないようで、例えば、発車時刻を過ぎた列車の指定券を、運休なり、遅延なりで払い戻したり、乗変申出をした原券を払い戻したりすることはできないと言われました。私自身、窓口へ行くのは趣味目的か、さもなければこういう払戻しくらいで、それ以外はほぼネット予約で完結してしまいます。

 

 

2021年12月10日 (金)

新えきねっと攻略(その後)

 「新えきねっと攻略(応用編)」で、リニューアルえきねっとでは、連絡乗車券が買えるという話をしました。新えきねっとは、まともな経路が出ない、ほしい指定券を買おうとすると、まず乗り換えを自分で調べて、区間時刻をピンポイントで指定してやらなければならないことが多々ある、そもそも使いにくい、等々批判される点が多い中、規則上発売できる区間であれば、連絡乗車券の一部が買える、というのはリニューアルの少ない長所でした。

 それが、遅くとも12月8日の利用開始(新規予約)分から、連絡乗車券は、ほぼ買えなくなりました。会社の昼休みに何気なくTwitterを見ていて初めて知りました。連絡乗車券を購入するには、駅名を「代々木上原(小田急)」と入力する必要があるなど、それなりのスキルを要求されていましたが、そもそも駅が出なくなりました。例えば、小田急線の相模大野を入力してみます。「相模大野」「相模大野(小田急)」のいずれも、「乗車駅の入力に誤りがあります」とされ弾かれます。

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 どこか買える会社線はないのか、北から順番に、東日本会社線と連絡運輸の設定がある社線の駅を片っ端から入れていきました。その結果、購入できる区間のある社線は次の通り、ということがわかりました。

青い森鉄道
IGRいわて銀河鉄道
東武鉄道(東上線野田線系統を含む)
松本電鉄(アルピコ交通)
伊豆箱根鉄道
伊豆急行
北越急行
えちごトキめき鉄道
しなの鉄道
富士急行
富山地方鉄道
あいの風とやま鉄道
IRいしかわ鉄道(津幡発着以外は不可)
のと鉄道
伊勢鉄道
京都丹後鉄道
智頭急行
土佐くろしお鉄道

 新幹線の並行在来線と、直通特急列車のある三セク以外はほぼ全部買えなくなっています。東武鉄道は、直通特急のある日光線系統だけでなく、例えば、池袋接続の川越(東武)発着の東上線系統、柏接続の船橋(東武)発着の野田線系統なども残っています。IR
いしかわ鉄道は、森本、西金沢の各駅発着にすると、経路は出ますが買えませんでした。マルスの運賃登録はあるはずですが、これはよくわかりません。

 では、連絡乗車券を不買とした意図を考えてみます。その結論は案外あっさり出ました。

 成田空港から新宿までの経路を検索してみます。基本編で述べた通り、以前は、京成本線経由、挙句の果てには東京メトロ丸の内線に乗せようとする嫌がらせ経路ばかりが出てきて、総武線から中央線に入る経路はおろか、成田エクスプレスでさえ出ませんでした。

 ところが、今検索してみると、下図の通り、まっすぐ総武線に乗る経路、成田エクスプレスに乗って東京で中央快速線乗り換え、新宿までNEXに乗り続ける経路など、ちゃんとまともなものが出るようになっています。

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 こんな簡単な予約でさえできないようではお話にならず、なにが快適でストレスフリーなえきねっとだ、とこれまた一般利用者から苦情が殺到したのでしょう。対応する現場の駅員氏がかわいそうです。そういえば臨時列車のプレスリリースで、ここのところ、えきねっとを推すような文言をあまり見なかったように思うのは気のせいですかね。

 私の推測では、経路検索の際に、経由できる社線を会社単位で最低限に絞って指定し、それ以外の路線は検索結果から弾く、という修正が入ったのだと思います。指定から外れた会社の路線は、そもそも駅の登録から削除(か又は蓋をして出せないようにした)したのだろうと思われます。ですので、東武鉄道などは、会社単位で残されているので、池袋接続などが生きているのだと考えています。

 池袋から小田原へ行くのに、知らずに小田急線経由を買った人が湘南新宿ラインに乗り、小田原駅の自動改札に弾かれ、精算をさせられれば、そりゃ怒ります。どうしてJRのえきねっとなのに、JR線経由の乗車券じゃないんだ、と。

 では、社線連絡券が買えなくなってないか不都合が起きるかと言われれば、何も起きないと思います。ICカード利用率が9割を超える首都圏でわざわざIC運賃より高い紙の連絡乗車券、しかも自動改札すら通らないようなものを好き好んで買うような人はまず間違いなくオタクです。普通の人は買いません。というかそもそもえきねっとでわざわざ乗車券だけ買いません。

 社線連絡券を買えるようにした理由の1つに、鉄道会社の違いなどよくわかっていない層でも乗換案内通りの乗車券が買えて、その通り乗り換えればよいようにする、要するに「Maas」の思想を取り入れる、というのは絶対にあったと思いますが、そもそもそういう人たちは、えきねっとを使うという発想すらない、更に言えば存在すら知らないと思います。

 そういうわけで連絡乗車券の発券実績が極端に少なく、あったとしても趣味目的でしか使われていない実情、また、連絡運輸範囲まで完璧に入力し、連絡運輸規程別表が改定される度にこれらを一つ一つ確認して修正を加えるメンテナンスにかかる費用など諸般の事情を考慮すれば、最低限のものだけ残して連絡乗車券を売らない、というのは合理的な措置です。連絡乗車券を売るより、まともな経路を出すことが優先されるのは当然です。
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 このあたりの事情推測が当たっているとすれば、松本電鉄が残っているのが不思議で、また山形鉄道や会津鉄道、箱根登山鉄道など、行き止まりの路線は残しておいてもよかったのではないか、とか、地鉄やのと鉄道など、東日本管内以外の社線には全く手が入っていないのはなぜ、とかいろいろ疑問は湧きます。とりあえず、の措置だったのだと思います。

 莫大な費用と労力をかけて買えるようにした連絡乗車券を一気に買えなくするという結末を迎えた今回の件は確実に黒歴史扱いでしょうし、この先、えきねっとで連絡乗車券が自由に買えるようになる日はもう来ないだろうと思います。

 こんな変なものを買えるようにしなくてもよいので、もっと他にやるべきことをやって、新えきねっとには、少しでも使いやすくなってほしいと思っています。

 記事の内容とは関係ありませんが、私は今、倉吉市内のホテルにいます。旅先でブログを更新したのは初めてです。着いたのが割と早く、明日実家に帰るので、パソコンを持ち歩いていたということもあり、こうして記事を書いていました。そろそろお風呂に入って寝ますかね。

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2021年11月11日 (木)

新えきねっと攻略(応用編)

前回の基本編に続き、今回は応用編です。

 

*2022年1月2日追記*
この記事を書いたあと、2021年12月から、一部を除き、連絡乗車券は発券できなくなりました。

記事中の連絡乗車券は、えきねっとでの購入ができなくなっていますのでご注意ください。
詳しくは、新えきねっと攻略(その後)をご覧ください。

次は連絡乗車券です。
現物はこういうきっぷです。これが出てきたとき、ネットでも連絡乗車券が買えるようになったのか、と少し感動しました。
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新えきねっとでは、連絡乗車券が買えるようだ、ということはわかりました。では、どの区間が買えて、どこが買えないのか、これはいろいろと試した結果、次の結論に至りました。

 

・連絡運輸範囲内(*1)

・マルスに運賃登録のある区間(*2)

・JR東日本と連絡運輸のある社線(*3)

これらの条件をすべて満たす場合に予約発券ができるようです。一部例外もあるとは思いますが、すべての接続駅、区間で試したわけではない、そもそもマルスに運賃登録のある区間がどこなのかは経験則でしかわかっていないので、なんとも言えません。

ちなみに、すべての条件に米印が付いているのは、例外やエラーが多々あるからです。追って解説していきます。

 まず、*1についてです。連絡運輸範囲内でなければ、いくらマルスに運賃登録があっても発券できない(してはならない)のは当然です。ちなみに、マルス上は、連絡運輸範囲外であっても、運賃登録のある区間では、経路検索機能で簡単に発券できてしまいます。マルスで発券できるから発売できる(してよい)のか、というのはよく議論に上がるところですが、規則上、明らかな誤りです。

これまでの考察で、新えきねっとは、基本的にマルスの機能をそのまま踏襲しているのだろうと思っていました。そこで、いきなり連絡運輸範囲外の区間を指定してみることにしました。
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山形鉄道の荒砥まで、東京から検索してみます。荒砥を着駅に入れると、候補駅が出ませんが、無視して進みます。ちなみに、山形鉄道は連絡運輸範囲が縮小され、東京都区内は少し前に外されています。

結果は、申込不可でした。連絡運輸範囲外である、という理由以外に、不可の理由は見当たりません。他の区間も試しましたが、連絡運輸範囲はしっかりとチェックされているようです。マルスではチェックできないことから、新えきねっと用に、おそらくは手入力で設定したのだと思います。

では、また遊びます。

まず、発着駅は、連絡運輸範囲内にあるが、経路が、範囲外に出る場合です。規則上、発売可能か不可能かの議論があり、明確な条文が無い論点です。連絡運輸の趣旨から外れた利用なので、発売不可という解釈も妥当だと思いますし、一方で、当該社線と連絡運輸のあるJR各社の路線内に収まっているのであれば、発売しても、明確に規則違反とまではいえないという解釈もできます。私は後者の立場です。

連絡運輸範囲までしっかり設定された新えきねっとの結論はどうでしょうか。

柏から、中央林間(小田急)までの経路を入力します。ちなみに、社線の駅は、2社以上が乗り入れている駅を指定したい場合、駅名だけ入れて候補が出ればそれを選択し、出なければ、()で会社名を入れれば出ます。会社名は登録に少し癖があります。例えば、金沢八景を入力したい場合、駅名だけではダメ、「(京浜急行)」でもダメですが、「(京急)」なら行けます。ここは試行錯誤が必要です。

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話がそれましたが、経由駅に「日立」「仙台」「白石蔵王」と入れます。想定経路は、柏→(常磐線)→岩沼→(東北本線)→仙台→(新幹線)→大宮→(東北本線・赤羽線・山手線)→新宿→(小田急線)→中央林間です。

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検索すると、想定通りの経路が表示され、乗車券を購入することができます。
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経由が連絡運輸範囲外であっても、少なくとも連絡運輸範囲内にある社線なら購入できるということがわかりました。

では、連絡運輸のないJR会社線を経由する場合は予約できるのでしょうか。これは連絡運輸規則に反しています。発売してはなりません。

やってみましょう。東京から、新富士、静岡、身延経由で河口湖までです。富士急行はJR東海との連絡運輸がないので、この経路は規則上、発売できません。
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結果、予約できてしまいます。
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このことから、新えきねっとでは、連絡乗車券については、発着駅が連絡運輸範囲内にあるかどうか、合わせて*3の考察から、JR東日本と連絡運輸の設定がある社線かどうかしか見ていないということがわかります。

次に*2についてです。マルスに運賃登録のある区間であれば発売できそうだ、ということはこれまでの実験でわかっていますが、これをはっきりさせるために、千鳥でしか登録のない路線で試してみます。例にするのは相鉄です。相鉄は、接続駅(横浜)から、同一運賃帯の最遠にある駅しか登録されていません。

ではまず、湘南台までで検索してみます。これは予約できます。
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次に、1つ手前のゆめが丘まででやってみます。これはダメでした。運賃登録がないからです


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ちなみに、同様の登録方法は東急東横線でも採用されていますが、同線は、どの駅を入れても予約に進めませんでした。運賃登録があれば何でもかんでも予約ができるわけではないようです。京急本線も同様でした。予約可能な駅があるのかもしれませんが、どういう理由で塞いでいるのかはよくわかりません。競合路線とかなのでしょうか。

*3についてです。運賃登録のある区間、かつJR東日本と連絡運輸のない社線、といえば、真っ先に思いつくのは、JR東海管内の社線です。名古屋から、長良川鉄道の郡上八幡とかでやろうとしましたが、そもそも着駅が出ませんでした。こういうのは当然無理なようです。

 

余談ですが、柏から中央林間までのところで、発駅を東京にしてみると、面白いことになりました。乗車券の経路については、東京(単駅)→常磐線・東北本線→仙台→新幹線→大宮→東北本線・赤羽線・山手線→新宿→小田急線→中央林間です。東京が単駅指定になるのがミソです。

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これで経路結果を表示させ、その先予約しようとすると、「ご指定いただいた設備の組み合わせでは特急券を取り扱いしておりません。別の設備を云々」というエラーがでます。設備を選択していないので、特急券がどうのこうのは関係ないはずです。試しに、東京→仙台→大宮で「ひたち」と東北新幹線を乗り継いでみると、普通に予約できます。このエラーの表示は適当だとして、単駅指定ができないのだろうか?という疑問がわき、調べてみました。
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区間は、梅小路京都西から草津(経由:山陰、福知山線、東海道)です。発駅は京都市内ではなく、梅小路京都西単駅でなければなりません。これでも普通に予約できました。
このことから、おそらく、社線連絡券かつ、接続駅と同一の特定都区市内の単駅指定という組み合わせは予約できないのだろうと推測ができます。


 もっと遊びます。

連絡乗車券にも往復、連続が発券できる社線もあります。連絡運輸規則の別表において、どの路線はできて、どこができないのか、また接続駅によって異なっていたりもするので、これはいちいちカバーしていないだろうと思っていましたが、そうでもなかったです。連続の連絡乗車券というものも上手く経路を出せば予約できます。連続の設定がない千代田線区間などは予約ができませんでしたので、一つ一つチェックしているようです。新えきねっとは、力を入れるところが間違っているように思います。力を入れるのは、そこではないです。

区間は、連続乗車券の設定がある小田急でやってみます。代々木上原→国立で、想定経路は、代々木上原→新宿→立川(折り返し)→国立です。
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これでやってみると、予約発券ができます。出てきたのが下のきっぷです。
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ちなみにですが、社線発の連絡乗車券は、発券NGでは?という論点があります。これに関しては、旅客連絡運輸規則14条において、社線発の乗車券が発売できる場合が列挙されていて、一部の社線を除き、原則として指定券等と同時購入の場合に限る、とされている一方で、15条において準用されている旅客営業規則21条の2第3項には、「発売区間については、・・・旅客の希望する区間の乗車券類を発売する」とされており、必ずしも社線発の連絡乗車券を発売することが規則に反するかと言われれば、そうとは言い切れないです。

 

ここからは番外編です。

まず、新千歳空港から千歳までの乗車券を購入しようとします。まず普通に検索して、快速エアポートの自由席を選択し、乗車券ありにします。すると、料金券不要の列車を指定していますとのエラーが出て進めず、乗車券のみ購入から進むよう言われます。

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では、乗車券のみ購入にチェックを入れて、それ以外のチェックは外します。すると、「経路がありません」??言われた通りやっただけですが。。意味がわかりません。
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結論として、在来線特急利用のチェックを維持したまま検索すると、快速エアポートが出てきて、無事乗車券のみ購入できます。快速エアポートは、在来線特急ではありませんが?

 

千代田線の西日暮里接続は、北千住までを通過連絡として、常磐線に直通する乗車券と、綾瀬までの連絡乗車券の2種類があります。通過連絡の方は運賃登録がないので、予約は当然できませんが、綾瀬着のものは、登録があります。当初は、この区間を含む乗車券も予約できそうに見えていました。金額も出ます。しかしながら、決済画面まで進むと、エラーが出て再考させられていました。

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それが今見ると、取り扱いできません、ということで選択できなくなっていました。ちなみに、「東京メトロ千代田線(○○行き)」とはつまり、通過連絡扱いで、「メトロ千代田線普通」が北千住綾瀬間をメトロ線とみなす連絡乗車券扱いのものです。

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次は、えちごトキめき鉄道です。

直江津から先は、トキ鉄ですが、検索結果には一部「信越本線」と表示されるものがあります。十日町(北急)から妙高高原で、発着駅のいずれもがJR以外なので、予約はできませんが、なんでしょうか、これは?
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調べてみると、柿崎発妙高高原行の列車でした。そういう表示になるんですね。

まだいろいろとネタはありますが、それそろ疲れたので、それはまた気が向いたときに書きます。長々とお付き合いありがとうございました。

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新えきねっと攻略(基本編)

 今年の6月に、えきねっとがリニューアルされました。JR東日本としては大々的にリニューアルを告知し、相当な自信を持っていたようです。先に言っておくと、このリニューアルは、理念ばかりが先行して、実際に使うには、非常に使いづらく、しかも鉄道(主にきっぷ関係)に詳しくない人、いや詳しい人でさえ、使いこなすのはほぼ不可能な代物になっていると思っています。ここからは想像ですが、利用者が本当に求めているものをきちんと考えず、おそらく担当者レベルではこれではダメだ、という声もあったのではないかと思いますが、上層部が、例えば、今流行りの「Maas」やら総合的な予約アプリを目指す理念を無理に推し進めた結果、誰も得しないリニューアルに仕上がったのではないかと思っています。なお、リニューアル当初と現在では細かい所で修正が入って、多少なりとも使い勝手は良くなっているように感じます。簡単な予約ですら一筋縄ではいかないところに苦情が殺到したと思われます。私もいくつか意見を述べましたが、リニューアル直後には、「現在お問い合わせが大変立て込んでおります」と表示される始末でした。多少ましになったとはいえ、一癖二癖どころか、まともに使いこなすには、相当な訓練が必要なのに変わりはありません。不平不満ばかり言っていても仕方ないので、新えきねっとをいかに使いこなすか、何ができて何ができないのか、一見できないように見えるものを予約するにはどうすればいいのかを私なりに考察してきましたので、気力が続かば、何回かに分けて書いていこうと思います。

 

  まず、今回は基本編です。旧えきねっとでは、まず指定席、自由席、乗車券の3つのメニューから進み、発着駅と日時を指定して、出てきたものを選択する方式でした。新えきねっとでは、その区別がなくなり、発着駅と日時を指定して、出てきた乗り換え検索候補から、適したものを選ぶ方式に変わりました。これはe5489やJR九州ネット予約などと同じで、普通の人にはこれがわかりやすいと思います。ただし、経路が出てこないと何もできず、例えば、複雑な長距離乗車券を予約したいときには、経由駅を絶妙に設定してやる必要が出てきます。しかも、午前4時をまたぐ経路は候補に出ません。当日中に日着できなければ予約できません。これは改善してほしいです。また、同日の予約は4件までしかできません。
*2022年6月13日追記*
いつ頃からか正確な時期は不明ですが、2022年5月下旬の段階で、1日の最大予約件数が10件に拡張されていました。4件では少なすぎる、という苦情が来たのでしょう。
この制限も正直意味がよくわかりません。分割乗車券を申し込むとなどする際には要注意です。

  では、さっそく予約をしてみましょう。例にするのは、新宿→立川間の特急列車チケットレスです。18時15分に発車する特急「はちおうじ1号」を、17時57分に予約しようとします。日時設定はデフォルトで現在時刻プラス6分以降、5分刻みで表示されます。着駅に「立川」と入力すると、いろいろ候補が出てきますが、これは別に選択しなくても進めます。私はめんどくさいのでいつも無視しています。

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 ちなみに、「東京」と入れると、前方一致ではなく、「東京」の文字が含まれている駅名がすべて出てくるので、「大久保(東京都)」が最上段です。こういうことがよくあるので、候補は無視しています。
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 話を戻します。新宿立川間で特急「はちおうじ1号」に乗ろうして、検索ボタンを押すと、結果が2件のみ表示されます。発車時刻の早いものから順に2件だけ出ます。なぜ2件?と思います。この「2件のみ」というのは重要です。なお、3件出てくるときがあります。どういうときに3件表示されるのかはよくわかりません。
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 検索結果として出てきたのは、1807発の通勤快速と1815発の「はちおうじ1号」です。この段階で、えきねっと側では、利用者が乗車券のみ予約したいのか特急券を買いたいのか判断できないので、通勤快速が出てくることに違和感はないです。ただし、これは現在の状況で、リニューアル直後に比べて改善されています。当初は、途中駅で追い越される快速電車が、発車時刻の早い順番に2分間隔ですべて表示されるので、特急「はちおうじ1号」が出てくるまで、「次の列車」を押し続ける必要がありました。私が苦情を入れたのはここです。結果が2件しか表示されないのに、快速電車は邪魔だ、2分間隔で表示するな、「指定席のある列車のみ」のボタンが欲しい、と言っておきました。同様の苦情が殺到していたと思わせる回答が来ましたが、現在は、先着列車のみの表示ですので、だいぶ見やすくなりました。

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ちなみに、「前の列車」を押すと、変なことになります。発車時刻の早い順番でも、到着時刻の早い順番でもなく、どういうアルゴリズムになっているのかよくわからない順番で結果が出ます。いろいろ試しましたが、表示順はいまだにわかりません。特急が先、とかでもないです。例では、1807発通勤快速が上で、1800発の「あずさ」が下に出ます。

  邪魔な候補を排除するために、私は、中央快速線の通勤特急であれば、発車時刻を覚えているので、ピンポイントで時刻を入れています。そうすれば、目的の列車が第一候補に出ます。当初より改善されているので、ここまでしなくてもよくなってはいますが、えきねっととは別に時刻表を見てやる方が予約はスムーズに進みます。

 

 次は、池袋→小田原間で、湘南新宿ライン経由の乗車券を買おうとしてみます。すると、新宿から小田急に入る経路が候補として出てきました。しかも、先へ進むと購入までできます。この段階で、一部の連絡乗車券が買えそうだ、ということがわかります。連絡乗車券については、後ほど述べます。社線を含めた経路が検索結果として表示される仕様になっています。

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 では、成田空港→新宿間で特急「成田エクスプレス」に乗ろうとしてみます。空港から新宿まで直通しているのがNEXのメリットです。

 検索結果を見て、唖然としました。何ですか、この変な経路は?

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 確かに社線を含めた経路が出るのはわかりますが、百歩譲って、京成に乗るのはわかるとして、なぜ船橋で降りて、馬喰町とかいうよくわからないところで歩かされ、都営新宿線に乗るのでしょうか。京成で日暮里まで行き、山手線に乗るのならまだ理解できます。今時、ネットの乗換案内でもこんな変な経路は出さないでしょう。

 2つ目の経路も何ですか?NEXを東京駅で降りて中央快速線に乗った方が早い、というのならまだ理解できます。なぜわざわざ改札を出て、丸の内線に乗り、御茶ノ水で降りて、雨が降っていれば傘を差して聖橋を渡らせるのでしょうか。嫌がらせとしか思えません。

 ちなみにこれらの経路が予約に進めない理由は、詳しくは連絡乗車券のところで述べますが、運賃登録がない社線、かつ連絡運輸範囲外だからです。私が冒頭で、「理念ばかりが先行した」と述べた理由はここです。

 確かに、一般利用者からすれば、JRだろうが小田急だろうが、京成も地下鉄も区別が付かないでしょう。別会社だから、というのは鉄道に詳しい人にしか理解できないところです。そうであれば、社線もJRも区別なく検索結果に表示し、利用者にとって最適な経路を案内し、JR東日本自社路線に限らず広く総合的な交通アプリを目指す、という理念自体には私も賛同します。ですが、経路検索の結果があまりにもお粗末です。一説によると、マルスの経路検索機能がこうなっているから、という理由のようですが、成田空港から新宿へ行くのにこんな結果しか出せないようでは、ネット予約失格です。

 それはさておき、では、こんな変な経路を回避する策を探してみます。当初はどうやっても排除できませんでした。しかし、検索オプションから、「新幹線の乗換なし(直通列車のみで検索)」を指定してみます。当初はこのボタンは文字通り新幹線にしか効果がなく、在来線には無効でしたが、今はこれが在来線にも使えるようになっています。いつからかはわかりませんが、期待せずにやってみると有効になっていることがわかった次第です。

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 検索結果は、乗り換えのないNEXだけが出てきました。もしこの区間に、乗り換えなしで行ける普通列車が走っていれば、それも候補には出てきますが、これでようやく、NEXの予約ができるようになりました。

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 変な経路を排除し、また臨時列車などを予約するときには必ずここにチェックを入れるようにしています。このチェックと日時のピンポイント指定で、目的のものをほぼ一発で出せます。

 しかし、「新幹線の」の4文字は不要です。というより、まず直通列車優先で検索させるようにすべきだと思います。好んで乗り換えをする人はいないと思います。こういうところが訓練された人にしか使いこなせない一因です。連絡乗車券を買えるようにしたり、Maasアプリを目指すよりなにより、こういう基本的な予約がストレスレスにできるようにならなければお話になりません。わかっている人しか使えないようでは、顧客は離れていきます。

 

 ここからは新えきねっとで遊んでいきます。遊んでみると、かなりいろんなことができて面白いです。

 まず、連続乗車券です。これは、東京→小金井とかで検索をして、宇都宮経由の乗車券が買えることで、連続乗車券が買えることに気付きました。この区間であれば、普通に検索してやれば出てきますが、そうでない区間で連続乗車券を発券しようとする場合は、経由駅に折り返し駅を入力し、必要に応じて、もう1駅、経路上の駅、かつ他の路線との乗換駅でない単独駅、かつ経路が一意に決まりそうな駅を考えて指定してやれば出ます。
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 新宿豊田間で、八王子を経由駅として指定すると、新宿→八王子→豊田の折り返し経路が出ます。京王線経由が出るのは仕方ないです。ちなみに、「直通列車のみ検索」にチェックを入れて同区間で検索すると、経由駅の八王子は無視され、新宿豊田間の中央特快とかが出ます、経由駅より直通列車の方が強いです。なお、経由駅は、特急などを使う場合で、通過駅を指定しても特に問題ないです。

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 申し込みを進めると、2日間有効の乗車券が買えます。2日間有効なので、連続乗車券ということがわかります。ちなみに、当初は連続乗車券を予約し、指定席券売機で発券した場合、券面の有効期間がなぜか当日限り有効、正確には、例えば、11月11日から11月11日まで有効、という表示、さらに言うと、英語表記にすると、「Valid 0Days」というものが出てきたそうです。面白半分で連続乗車券を朝の通勤時に発券し、Twitterに投稿しようとして、なんだこれ?となりました。表示だけでなく、磁気コードも1日有効でした。これは今出川さんが詳しく考察されていますので、そちらを参照してください。

 では、もっと変なことをしてみましょう。

 豊田→日野で、経由駅を八王子、立川と入れます。エラーが出るかと思いきや、豊田→八王子→立川→日野で経路が出ました。3区間の連続乗車券などというものは存在しません。どういうきっぷが出てくるのか非常に気になりました。

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 1日間有効の豊田八王子の乗車券と、2日間有効の八王子日野間の乗車券、ということは、豊田八王子の片道乗車券と、八王子立川、立川日野間の連続乗車券と推測できます。発券したきっぷが次のものです。やはり推測通りでした。枝番が01から03と連続しているので、1つの予約で発券されたことがわかります。ちなみに、連続乗車券ですが、有効期間が誤っています。こうなっていました。
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 きっぷのブログなので、発行箇所の「えきねっと10」とか2段表記になるところとか、最初は気になりましたが、ここでは割愛します。

 では、4区間以上は発券できるのか?当然気になります。連続乗車券2組になるのか、とても興味があるので、いろいろと発着駅、経由駅をいじって、頭をフル回転させてがんばってみましたが、経路が出せず、エラーばかりで、今のところ、上手くいきません。ですので、そもそもできないのか、経由駅等の指定が下手なだけで、できることはできるのかはよくわかりません。そんな変な予約は想定外でしょうからたぶんできないのだと思っています。3区間だけでも非常な驚きでしたので。

今回は基本編なので、ここまでにしておきます。次の応用編は、連絡乗車券です。

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2021年10月31日 (日)

実習用通学定期券

 旅客営業規則36条は通学用定期の発売方法を定めた条文ですが、その第4項には、次のようにあります。

「指定学校の学生、生徒若しくは児童が、実習のため実習場等まで乗車する場合で、当社が必要と認めるときは、第1項の規定に準じて通学定期乗車券を発売する。」

 この条文は、いわゆる実習用通学定期券の発売について定めたものです。通常の通学定期券は、自宅最寄り駅から、学校最寄り駅までの区間に限り発売でき、通学の用に供する限り割引の運賃で発売されるものです。従って、それ以外の区間を発売することはできません。例えば、大学生が、自宅から大学まで通い、それとは別にアルバイト等で事業所に通う場合、学校最寄り駅と自宅最寄り駅の間は、通学定期券になりますが、事業所に通う経路で、通学定期券以外の区間は、「通勤」定期券となります。この場合、別個に2枚の定期券を購入してもよいですが、旅客営業基準規程に基づき、1枚にして発売することも可能です。

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 私が大学に通っていた時、東京までは通学定期とし、アルバイト先の渋谷へ行くため、代々木渋谷間は通勤とした2区間定期を所持していました。これはSuicaに載せることができました。余談ですが、東京から本郷三丁目まではたぶんそんなに行かなかったので回数券かなにかにして切り離していました。

 これは事業所に、学校の課程とは無関係に通っているので通勤定期券ですが、医療系看護系の学生を中心に、国家資格を取得するために、現場での実習が必要な場合があります。私は法学部にいたので、紙と鉛筆、六法の勉強ばかりで実習という概念はありませんでしたので、実習定期券を使う機会はありませんでした。よって、これは譲り受けたものです。

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 実習先へ通う場合は、実習先最寄り駅と自宅最寄り駅の区間で、「通学」定期券を発売する、とされています。運賃は、当該学生の通う学校区分に応じたものになります。通学証明書と同様式の書面に、「実習用」と赤書きした通学証明書を提示することで購入できます。

 これをもらったとき、どうしてSuicaにしなかったのか聞くと、Suicaにはできない、と言われたそうです。磁気定期券に、「実習」と赤書きされています。私はこの先も使う機会はなさそうな定期券です。規則上あるのは知っていましたが、現物は初めて見ました。

 余談ですが、これを買うときに、豊田のアシストマルスで頼んだところ、八王子~飯田橋と通学証明書に書いたにもかかわらず、八王子~四ツ谷で発売されてしまい、その日はそのまま飯田橋まで行って、Suica精算書をもらい、帰り豊田のアシストマルスで往復分の精算書と券面、それに通学証明書の写真(よく撮影したものだと思いますが)を全部提示して区間間違って発売されているから交換と運賃の返還を請求しましたところ、アシストマルスでは対応できないので、裏から通学証明書の原本を駅員氏が回収し、乗車駅証明書(豊田でも出せるのをこれまた初めて知りました)と一緒に渡され、八王子の窓口へ行くよう言われ、電話連絡されていたようで、定期券の交換と運賃の払い戻しを受けたうえ、助役クラスの人が出てきて、平謝り、粗品をもらったそうです。

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