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2022年12月の5件の記事

2022年12月31日 (土)

連載企画:開示請求から連絡運輸範囲を知る(5)

ここまで考えてみて、諦めそうになりましたが、そういえば、社線の連絡運輸規則には、JRの連絡運輸規則を準用する旨を定めている例が結構あることを思い出しました。それとこの開示請求がどう関係しているかというと、鉄道営業法3条が間に入ります。

 詳しく解説します。

 まず、鉄道営業法3条は次の通り定めています。

 「運賃其ノ他ノ運送条件ハ関係停車場ニ公告シタル後ニ非サレハ之ヲ実施スルコトヲ得ス」

 

 鉄道営業法は文語体ですが、要するに、運送条件は、公告しなければならない、ことが定められています。明治時代にインターネットはありませんので、運送条件、つまり旅客営業規則の各種規則類は、駅において、少なくとも旅客が閲覧等を求めた際には開示しなけならない、もっと言うと、駅に掲示しておかなければならない、ということです。旅客営業規則の全文を貼り出すのは現実的ではありませんが、それを抜粋してわかりやすく書いたものが、どの駅にも掲示されています。

 この「運送条件」には当然ながら連絡運輸規則も含まれます。更にいうと、その細則である旅客連絡運輸取扱基準規程も、その中に、旅客営業に関する運送条件が書かれているのであれば、少なくともその部分は、運送条件に含まれます。

 したがって、そもそも基準規程は内規だから、というのは鉄道営業法3条に違反しているように前々から思っていますが、今のところ国土交通省鉄道局は問題視していないようです。国鉄時代からの慣例のようです。実際のところ、細則で定めるような細かいことまで公告の対象としなくてもよいだろう、という法解釈だと推測します。

 少し逸れましたが、連絡会社が、その規則において、JRの旅客連絡運輸規則を準用する、と定めている場合、当該連絡会社に対して、連絡運輸規則を閲覧したい、と申し出られたときに、準用しているJRの規則も見られなければ、運送条件を公告したことになりません。

 ということは、JRの連絡運輸規則類は、少なくとも準用規定を置いている連絡会社には周知されている可能性が高い、と考えました。

 

 そこで、公営交通の連絡運輸規則類を片っ端から見ていきました。すると、東京都交通局に面白い規定がありました。「東京都地下高速電車連絡運輸規程」です。全部で8条しかないですが、その第8条には「準用規程」とあります。全文引用します。

「この規程に定めのない事項については、東京都地下高速電車旅客営業規程(昭和三十五年交通局規程第十号。以下「旅客営業規程」という。)、東京都地下高速電車身体障害者旅客運賃割引規程(昭和三十五年交通局規程第十一号。以下「身体障害者割引規程」という。)及び東京都地下高速電車知的障害者旅客運賃割引規程(平成三年交通局規程第百十五号。以下「知的障害者割引規程」という。)の定めを、この規程、旅客営業規程、身体障害者割引規程及び知的障害者割引規程の定めのない事項については、東日本旅客鉄道株式会社が定める連絡運輸に関する規則及び規程の定めを準用する。」

 長いので必要な部分だけ抜き出すと、

「この規程、・・・の定めのない事項については、東日本旅客鉄道株式会社が定める連絡運輸に関する規則及び規程の定めを準用する。」となります。このうち、「東日本旅客鉄道株式会社が定める…【規程】」を準用する、の部分が最重要です。

 「規則」の部分は、旅客連絡運輸規則で、これは公開されているので、どっちでもいいですが、【規程】の方は、旅客連絡運輸取扱基準規程を指すものと考えられます。

 これは、基準規程を東京都交通局は保有しているのではないか、と先ほどの理論から考えました。

 そういうわけで、東京都交通局長に対して、開示請求をかけてみます。

 電子請求ができますので、ネットから開示請求書を提出して、数時間後に担当職員の方から電話がありました。早すぎます…

 その内容は、「請求対象は、JRの規則ですが、JRに対して請求をするのではなく、当局が保有する、JRの規則を、当局に対して請求する、という趣旨で間違いないか」というものでした。変な請求をしているのは間違いないですが、探してくれることになりました。

 2週間ほどして、期間の延長決定通知が来ました。東京都の情報公開条例では、請求から2週間以内に開示決定をすることになっていますが、その期間内に開示決定ができないときは、期間を延長できます。その通知です。延長期間は2か月でした。

 開示請求の対象は、都以外のものが作成したものであり、その者の意見を聞く必要がある、というのが理由でしたが、ここでわかったことが1つあります。

 それは、不開示ではなく、こういう理由で延長する、ということは、少なくとも東京都交通局は、JRの旅客連絡運輸取扱基準規程を保有している、ということです。やはり、配っているようです。

ちなみに請求対象とする文書として、「別表を含む」と明示してあります。この決定通知が来たのは、9月下旬でした。

 

 2か月後の11月中旬、私は旅行で、北海道の紋別市にいました。そこはどっちでもいいですが、東京都交通局の担当職員の方から電話がありました。

 「請求された文書の、開示決定が出ました。結論から言うと、全部開示なのですが、JR東日本に意見を聞いたところ、出さないでほしい、と言われておりまして、ただ、文書の内容を見ましたが、都の条例、その他の関係法令に照らしても、隠す理由が無い、ということで、全部開示になりました」

 東京都交通局、なかなかいい仕事をされています。JR東日本が反対意見を出しても、隠す理由がない、と全部開示にするのはさすがです。法令に則った正しい取り扱いをする、理想的な行政機関です。

「都の条例によって、反対意見が出された場合は、出した者、つまりJR東日本が、開示決定を取り消してほしい、と訴訟を起こす可能性がありますので、猶予期間が設けられておりまして、それが2週間なので、実際に文書をお渡しできるのは今から2週間後になります。」とのことでした。

 JR東日本からすれば、今まで「内規だから」と公開を断ってきた基準規程を、東京都交通局が開示しては困る、ということで反対意見を出したのだと思います。当然です。ただ取消訴訟までするかな、とは思いました。行政訴訟はそれなりに時間も手間もかかります。

 いずれにせよ、訴訟提起がなされれば、裁判所から東京都交通局に連絡がいき、そのまま請求人である私のところにも連絡が来るものと思いましたので、とりあえず待つことにします。

 2週間の期限が到来しても特になんの連絡もなかったので、仕事の合間を見て、半休を取り、都庁まで開示された資料を取りに行くことにしました。あらかじめデータでほしい、と申し出ていたので、CD1枚です。

 郵送された開示決定通知には、枚数として、「19枚」とあり、これは別表、赤表紙は含まれていないな、と直感しましたが、「東日本旅客鉄道株式会社が定め、東京都交通局が保有する旅客連絡運輸取扱基準」が開示文書として記載されていましたので、少なくとも本文はあると思いました。

「規程」の2文字が入っていないのが少し気になりましたが、とにかくCDを受け取ってきました。

 

 まずファイル名称が「47本営20140901旅客連絡運輸取扱基準規程」となっています。この時点で、少し古いな、と思いました。20140901の部分は恐らく、その当時のもの、ということでしょう。

内容を見ます。全部開示決定なので、黒塗りはありません。

 題目は「旅客連絡運輸取扱基準規程」です。あれだけ、内規です、と公開されていなかった、基準規程の連絡運輸版が、全文開示されました。

ちなみに、インターネットでこうして公開していますが、東京都情報公開条例に基づく全部開示決定により出てきた公文書に該当するので、誰が請求しても同じものが出てきます。つまり公開しても法的に何ら問題はありません。

 ここに東京都交通局から交付されたPDFを置いておきます。

47本営20140901旅客連絡運輸取扱基準規程.pdf

 ところで、先述した通り、まだ満足はできません。

・2014年9月1日現行のものと思われるので、少し古い。

・別表部分が載っていない

この2点です。古い、というのは、後ろのほうにある、幹事会社のJR北海道欄に、道南いさりび鉄道がないところ、北陸本線三セクもないところからもわかります。連絡運輸の基準規程は中を見ていると、旅客営業取扱基準規程が多々準用されているので、これも見たいです。上述した理論から、これも東京都交通局にあるのではないか、と思っています。

 

 そこで、12月25日に追加の開示請求書を提出しています。請求対象は次の4点です。

・旅客営業取扱基準規程
・旅客連絡運輸及び旅客営業取扱基準規程別表
・連絡運輸管理規程
・旅客連絡運輸取扱基準規程のうち、2014年9月1日以降の改定がわかるもの(新旧対照表等)

 これらが東京都交通局にあるか、あれば、今回と同様、JR東日本に反対されても、開示決定が出るでしょうし、出なければ、鉄道営業法3条を絡めた審査請求、取消訴訟などを要検討です。もちろん、東京都交通局には、これらの規則類はないかもしれません。

 年末に、まずは大きな第一歩です。東京都交通局からなんらかの通知が来れば、また連載企画を続けます。

 これまでの4回のリンクは次の通りです。

 連載企画:開示請求から連絡運輸範囲を知る(1)

 連載企画:開示請求から連絡運輸範囲を知る(2)

 連載企画:開示請求から連絡運輸範囲を知る(3)

 連載企画:開示請求から連絡運輸範囲を知る(4)

 

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連載企画:開示請求から連絡運輸範囲を知る(4)

 中部運輸局に対してかけた開示請求は失敗に終わったので、そもそも連絡運輸に関する届出にはどのようなものがあるのか、というところから考察をすることとしました。「e-gov文書管理」という政府のサイトがあり、官公庁の保有する公文書の一部が検索できます。

 運輸に関する届出、というところで、「令和2年度運輸に関する協定届出」と題する文書に、連絡運輸に関する届出が含まれていそうだ、ということがわかったので、この画面コピーを取って、保管先の東北運輸局に開示請求をかけてみました。何が出てくるかはさっぱりわかりませんが、保有文書として記載されているのだから、不存在、ということはあり得ません。

 しばらく経ってから、請求した文書が送られてきました。PDFデータが送られてくるとばかり思っていましたが、郵券と、必要書類を紙で送って、開示文書が、紙に印刷されて郵便で届きました。システムを使うより紙でやりとりした方が事務処理上楽なのでしょうね。

 さて、中身を見てみます。

 開示された文書はいくつかありましたが、そのうちの野岩鉄道と会津乗合自動車の分を見てみます。中身は特別企画乗車券に関するもので、一時限りの連絡運輸に関する届出でした。普段から連絡運輸を行なっていない会社と連携した企画乗車券を発売する際には、確かに届出が必要です。一時限りの連絡運輸であってもその都度届出が必要なので、そう簡単に他社と連携した特別企画乗車券は発売できそうにないな、ということがよくわかります。

 詳しい内容は、添付のPDFファイルをご覧ください。

東北運輸局開示文書1

 協定書の内容は、事業者が通常公表しておらず、公表することによって、当該事業者の正当な利益を害するおそれのあるもの、として当事者の名称と有効期間以外は黒塗りになっています。まあこれは仕方ないです。また最終頁の運賃設定についても、事業者ごとの割引率や取り分は黒塗りです。理由は協定書と同じです。これも頷けます。

 開示された文書は、これ以外にもあり、仙台市交通局とバス事業者の間で締結された協定以外は、全て特別企画乗車券に関する一時限りの連絡運輸に関する届出でした。仙台市交通局のは、ほぼ全部黒塗りで、一体これがなんなのか、全くなにもわかりませんでした。

 ここまで見てみて、一時限りの連絡運輸であっても都度届出をしているのであれば、普通連絡運輸に関しても、連絡運輸範囲を変更するごとに届出がされているのではないか、と推測しました。保存期間は5年間ということもわかりましたので、その期間に連絡運輸範囲を変更していることが確実にわかっている、肥薩おれんじ鉄道に照準を合わせ、今度は九州運輸局に対して、開示請求をかけてみます。肥薩おれんじ鉄道は、特急「36ぷらす3」の運行開始時に、通過連絡運輸を設定し、JR九州全駅に連絡運輸範囲を拡大しています。

 開示請求書を提出してしばらくして、担当係官の方から電話が入りました、この方は親切で、例えば、JR九州との連絡運輸で、JRだけが割引をしている場合、届出義務はJRにある、とか、協定書の内容は、当事者と有効期間以外黒塗りになります、そういう答申が出ていますので、とかいろいろ教えてくださいました。そのやり取りを踏まえて、開示請求書を補正してほしい、とのことで補正案まで作ってメールで送ってくださり、それに住所氏名等を書いて返信しました。

 これまたしばらくして、数十枚の開示文書が送られてきました。年度別にまとめてあり、とても仕事が丁寧な方でした。開示請求などというのは役所側にしてみれば負担でしかなく、運輸局であれば担当は総務課で、専属の担当係官がいるのかもしれませんが、いずれにしろ、黒塗りをしたり、結構な手間がかかるはずです。

 開示された文書は、そのうちスキャンしてもよいですが、全て特別企画乗車券に関する一時限りの連絡運輸の届出でした。きっぷオタクとして興味深いきっぷもあったので、内容は面白かったですが、いずれにしろ、普通乗車券の連絡運輸範囲を変更する旨の届出はありませんでした。

 ここまでやってみた結論としては、普通乗車券に関する連絡運輸範囲の変更、というのは届出義務がない、おそらく、連絡運輸を締結した最初のときに、自動更新条項があり、協定書の内容に、細かい連絡運輸範囲というのは含まれていないのだろう、というところです。鉄道会社か国土交通省鉄道局に法令解釈という観点から質問でもすればわかるのかもしれませんが、開示請求をして出てこない、ということは、都度の届出はされていません。

 よって、地方運輸局に対して開示請求をかけることで連絡運輸範囲を知ろう、という試みは失敗に終わりました。

 これで諦めたわけではないので、まだ続きます。今度は少し違う観点から開示請求を行ないます。開示請求の利点は、何人も見られる資料である、という点にありますので、あくまで開示請求という方法にはこだわります。意外なところから、意外なものが出てきましたので、それはまた次回にします。

 

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Sきっぷ(札幌留萌間)

 今年もあと数時間で終わりの大晦日です。

 個人的に年末のこの忙しい感じと、年始の雰囲気が好きなのですが、まあそれはいいです。

 さて今日は、来年3月末で廃止になる留萌本線のきっぷです。札幌留萌間は、函館本線の特急と留萌線の普通列車を乗り継いで、2時間ほどです。留萌線の本数が減っているのがネックですが、札幌方面からの特急列車とは深川でうまく接続しています。

 同区間には、北海道中央バスの都市間バス「高速るもい号」と、沿岸バスの都市間バス「特急はぼろ号」、「特急ましけ号」が走っています。こちらの所要時間はおよそ3時間ほどです。特急はぼろ号は予約制で、留萌より先の羽幌、遠別、天塩、幌延方面が主ではありますが、留萌市内にもいくつか停留所があります。深川留萌道経由ですが、札幌市内の次は留萌市内まで停まりません。留萌市内までの運賃は2410円です。

 高速るもい号は、非予約制で、深川経由便と滝川経由便の2つがあります。滝川経由が3本、深川経由が4本で、運賃は2650円です。深川市内と滝川市内でそれぞれ乗降を取り扱います。

 都市間バスの運賃料金をみたところで、JRの運賃を見てみます。こちらは自由席特急料金を含めて、札幌留萌間5460円です。これは片道の運賃料金です。乗車券だけでも3630円します。

 JRの特急は確かに速いですが、都市間バス往復運賃より高いとなっては、これでは勝負になりません。しかも深川で乗換があり、当たり前ですが、留萌市内は、駅までしか行きません。都市間バスは、十字街やらの市内各所にいくつか停まります。

 そこで、札幌留萌間には、自由席往復きっぷ(Sきっぷ)が設定されています。往復で5750円です。片道にすると、2870円です。これならバスと互角に戦えます。割引率は、48%とほぼ半額です。Sきっぷの設定区間は、特急1本で行ける区間ばかりですが、留萌だけは普通列車に乗り継ぐのが前提になっています。

 留萌線がなくなる前に、普通列車しか走っていない線区のSきっぷを使っておこうと思い、去年の1月に一度買っていました。しかし、この時は札幌圏の豪雪により、留萌線どころか、函館線の特急も、駅員氏曰く「岩見沢ですらまともに走ってないから、バス乗ってください」というほどで、結局留萌まで、高速るもい号に乗って行きました。初山別まで行って1泊し、翌日の留萌線も、もちろん運休していたので、深川まで沿岸バスの留萌旭川線に乗りました。1日5往復、留萌深川間の運賃は1100円です。留萌線廃止後の主な代替交通機関となる予定です。

 そういうわけでSきっぷは、まったく使えなかったので、払戻しました。

 先々週、今度こそは、と1か月前に北見でSきっぷと指定料金券を仕込みました。指定席券売機でSきっぷを買うと、そのまま指定席を予約しますか?という画面に変わり、指定料金券を買うことができます。

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 吹雪く予報でしたが、滝川駅構内でポイント不転換があって深川に20分遅れで着き、留萌線は接続待ちをしていたので、留萌にはおそらく20分延着したくらいで、行きはちゃんと留萌まで使えました。
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 窓口で帰り分の指定料金券を買いました。指定券発行印に、「留萌」と入っているのがいいです。こういうハンコ類もお蔵入りしますから、できるだけ集めておきたいですが、そもそもどういうハンコがあるのかよくわからないのが実情です。

 レンタカーを借りて初山別村の温泉に2泊していました。中日は晴れていましたが、行きも帰りも吹雪いていて、特に帰りは、羽幌苫前間で完全にホワイトアウトしてしまうなど、冬の留萌管内の洗礼を浴びてきました。

 なんとか留萌市内まで戻ってきて、駅に行くと、列車はいましたが、1617発の深川行きは運休だということでした。その足で、中央バスの留萌ターミナルに行き、1600発の滝川経由便に乗車します。こちらも道央道が吹雪で通行止めで、札幌にはおそらく1時間は遅れる、と最初に説明がありました。滝川は国道経由なので遅れない、とも言っていました。

 滝川駅前でバスを降りて、札幌行きの特急ライラックに5分乗継です。こちらは数分遅れで走っていました。

 そういうわけで、Sきっぷは復路の留萌滝川間が使えていませんが、まあ冬の留萌線なので、上々の結果です。廃線は3月末で、これから冬本番を迎え、一度ドカ雪が来ると1週間は運休になる路線ですので、行ったけど乗れなかった、という事態は普通に想定されます。先述した通り留萌は代替となるバスが結構充実していますので、旅程崩壊は免れられます。時間はかかってもバスの運休は鉄道より少ないです。何度も書いているところですが、もはや留萌線の存在意義はほとんどありません。

 廃止前にもう一度行こうとしていますが、臨時列車の運転とかはあるんですかね。今のところ何も発表されてませんが。

 

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 さて、2022(令和4)年も終わりです。今年もお読みいただきありがとうございました。謎の連載企画をしていますが、これはそれなりの成果が出ているものですので、また追々発表しようと思います。

 今年は、プライベート以外では、出向期間が終わり、芝公園のビルに勤務地と業務が変わるなどしましたが、生活の根本はほとんど変わっていません。旅行関係では、北海道滞在期間が42日と過去最高を一気に更新(どう考えても行きすぎです)し、SFC修行をしたおかげで来年はANAのプラチナステータスになります。

 来年の予定は、今のところ冬にまた集中渡道期間が決定しているくらいで、そのあと暫く静かになりますが、今後もお付き合いくだされば幸いです。

 それではみなさま、よいお年を!

 

 

2022年12月 4日 (日)

新大村諫早間の経路変更

 新幹線と、それに並行する在来線は基本的に同一路線として扱いますが、新幹線単独駅が存在する区間は別路線として運賃計算を行ないます。根拠条文は、旅客営業規則16条の2です。1項において、同一路線とみなす区間が、2項で別線扱いの区間が、それぞれ列挙されています。並行する在来線が存在しない区間、例えば、北陸新幹線の高崎~金沢間などは。単一の路線として運賃計算をする旨が16条の4に規定されています。

 さて、9月23日に西九州新幹線が開業しました。西九州新幹線の扱いがどうなるか見てみます。

・同一路線扱い(16条の2)
 長崎本線の諫早・長崎間(現川経由)と、西九州新幹線

・単一路線扱い(16条の4)
 西九州新幹線 諫早・武雄温泉間

・別線扱い
 対象なし

これだけ見れば特になにも思いませんが、諫早~新大村間は、大村線が並行しています。ここは、条文を見る限り、単一路線扱いです。別に定められた条項等は存在しません。なぜ?という疑問が湧きました。

 まず、大村線は地方交通線で、一方西九州新幹線は、全線幹線扱いです。諫早~新大村間の運賃を比べてみると、大村線経由は300円、西九州新幹線経由は280円となります。個人的にはこれが理由かと思いました。

 地方交通線を並行在来線とみなす区間として、山陽新幹線の徳山~広島間が挙げられます。厳密にはその一部ですが、岩徳線経由とみなしていますが、西九州新幹線の事例とは事情が異なります。つまり、この区間を岩徳線経由としているのは、光経由の山陽本線を並行在来線とみなすより、距離が短く、いわば旅客有利となることがあります。山陽本線で徳山~岩国間を通過する場合も、岩徳線経由で計算します。この方が運賃が安いため、そのように定められています。

 では、西九州新幹線の諫早~新大村間について考察してみます。営業キロ、擬制キロを見てみます。

 西九州新幹線経由:12.5km
 大村線経由   :15.3km

 西九州新幹線と大村線を同一路線とみなし、大村線経由で運賃計算をすることになると、運賃計算の基礎となる距離数が増えます。これでは旅客に不利です。逆に、大村線の当該区間を幹線扱いにするか、当該区間に特定運賃を設定する(これでは根本的な問題は解決しませんし、前後の区間を含めて特定運賃を設定する必要が生じるなど、手間がかかりすぎます)ことで問題解決を図ることも理論上は可能です。

 理論上は、と書いたのは、別線扱い、正確には新幹線を単一路線とすることで、なにか不都合が生じるかを考えればわかります。新幹線経由の方がキロ数が短くなるから、といっても新幹線に乗るには別途特急券が必要ですから、結果として高くなります。よって、乗車券の値段だけで乗車経路を決める人はまずいないです。そうすると、99.9%の旅客は実乗車経路通りの乗車券を買うでしょう。そうすると、不都合が生じる、言い換えれば、精算が生じるのは、大村線経由と西九州新幹線経由相互間で乗車経路を変更した場合、つまり区間変更(経路変更)をした場合くらいしか考えられません。こんなことをする人も実務上ほぼいません。

 以上の考察から明らかなように、面倒な手続きをしなくて済み、かつ弊害もほぼ存在しないことから、同一路線扱いにしなかったのだと思います。

 では、実際に区間変更をしてみます。原券は、長崎~吉塚(経由:長崎・新幹線・武雄温泉・佐世保線・長崎線・鹿児島)です。これを持って、長崎から新幹線に乗り、諫早で降りました。乗換改札に人がたまたまいなかったので、改札を出て、窓口で、大村線経由にする旨の区間変更を申し出ました。

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 小倉博多間は経路変更が必要なのは知ってるけど、ここもそうなの、とかどっかに電話しながら補充券を書いてくれたので、区間変更券の常備券は存在せず、本社側からも経路変更が必要になることは特に周知されていないような気がしました。差額の20円を支払ってお礼を言い、大村線の快速シーサイドライナーに乗りました。ちなみに新大村の在来線改札は無人なので、新幹線経由の乗車券でそのまま乗ってきても特に差額収受ということにはならず、それすら誰も気づかないまま外に出て終了となると思います。

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2022年12月 3日 (土)

連載企画:開示請求から連絡運輸範囲を知る(3)

 では、実際に運輸局に対して、開示請求をかけてみます。そもそも運輸局が連絡運輸範囲の改訂についてまでの届出を受けているのか、直近で、連絡運輸範囲の拡大がなされた(らしい)近鉄とJR東海に照準を合わせました。

 令和4年4月1日から、JR東海会社線内から近鉄への連絡運輸を取り扱う範囲が、JR東海全駅に拡大されたらしい、という話を聞きました。近鉄からJRへの連絡運輸となる場合は従来通りだそうです。

 ここでまず1点疑問に思ったのは、本件の場合、JR側の連絡運輸範囲を拡大したわけではなく、現場の実務上の取り扱いとして、全駅から取り扱うようになってだけなのでは?という点です。マルス端末上は、発券しようとする連絡乗車券が連絡運輸範囲に収まっているかの判定は行っておらず、定期的に誤発券の事例が挙がってきます。りんかい線通過連絡などが典型例です。このように社線運賃がマルスに登録されている区間であれば、規則上の整合性はさておき、実務上は発券できてしまうので、それならば、これまで誤扱いだったものを、正式に認めて、誤発券となる事例を減らそう、という意図は理解できます。とりあえず自社管内各駅から運賃登録のある近鉄線の駅まではすべて発売可、としておけば、誤発券となる事例は大幅に減らせます。

 近鉄側からの連絡運輸となる場合は、長距離の場合は、そもそもASAK端末が対応していないこともあるなど、誤発券となることが少ないことから据え置きとしたのだと思います。

 それはさておき、開示請求です。開示請求の宛先は、中部運輸局長となります。開示請求の手続きとしては、国土交通省所定の書式に、開示請求者の氏名住所連絡先を記入し、開示請求対象文書を特定するに足りる事項を書き、開示方法を選択した用紙を書くことから始まります。

 対象文書の特定として、次の通り書きました。

「東海旅客鉄道株式会社が、近畿日本鉄道株式会社と、鉄道事業法第18条に基づき締結した 、 連絡運輸に関する協定に係る届け出のうち、令和4年6月12日現在有効なものに関する一切の 文書。なおここでいう一切の文書とは、当該届出書本紙のみならず、それに付属する書面等を含む 。」
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 開示請求書を中部運輸局総務課に郵送してもいいですが、国土交通省は、電子申請ができます。e-govという専用サイトから提出します。初期登録を済ませて、開示請求者の情報を入力します。開示請求専用のページなので、ここに必要事項を入力するだけでいいと思っていたところ、どうも入力するのは、宛先と請求者の情報だけで、文書の特定などは、添付ファイルでするようです。これは想定外だったので、上の書面を別途作成しました。なかなか出来の悪いサイトです。紙による行政の事務をそのまま電子化したように見受けられます。デジタル庁には、このあたりも改善していただきたいな、と思いました。余談ですが、e-govのマイページには、「公文書」というボタンがあります。たぶん申請に対する行政庁の回答文書が見られるのだろうと思いますが、「公文書」という名前はなんとかならなかったのですかね。

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 話が逸れましたが、所定様式に必要事項を記入してPDF化したうで添付し、申請ボタンを押しました。郵送したり、開示請求手数料(300円/件)の印紙を購入したりする手間はないので、着実に行政の電子化は進んではいます。ちなみに手数料は後で電子納付することになります。

 開示請求は、以前別件で人事院に対してかけてことがありますが、数週間かかるので、気長に待ちます。

 忘れかけたころに、中部運輸局総務課の担当係官から電話がかかってきました。

 曰く、「対象となる文書がありませんでした」とのことです。要するに、不存在です。不存在の旨を記した文書が必要であれば、手数料300円を納めていただいて、発行しますが、この段階で取り下げれば手数料は不要です、とご親切に教示してくださったので、取り下げにしました。

 e-govから、取り下げ手続きをして、本件は終了です。

 本件は、上述した通り、連絡運輸に関する協定を変更したわけではなく、あくまでJR東海側の運用が変更になっただけなのか、あるいは、連絡運輸範囲を変更した場合でも都度届出が必要になるわけではないのか、そのいずれなのか判然としないので、失敗に終わりました。

 そこで、連絡運輸に関する届出には、一体どういうものがあるのかを、まず探って行くことにしました。無暗矢鱈と鉄道会社名を書いて全国の運輸局に開示請求をかけることも方法としてはあり得ますが、時間と労力がかかりすぎますし、運輸局の係官に多大な負担をかけるのは本意ではありません。文書の特定方法が悪かったのかもしれませんし、考察を進めて行くことにします。次回に続きます。

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