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2022年11月23日 (水)

連載企画:開示請求から連絡運輸範囲を知る(1)

 今回は、きっぷそのものの話題から少し逸れます。きっぷの発売根拠となる規則関係にまつわる話です。

 連絡運輸に関わる規則として、旅客連絡運輸規則(以下「規則」といいます)があり、その施行規程としての旅客連絡運輸取扱基準規程(以下「規程」といいます)があります。JR各社、また社局によりその名称は多少異なりますが、大体同じ構造を取っています。

 連絡運輸については、旅客会社と社局の間で、いわゆる連絡運輸範囲が細かく定められており、全線全駅で発売できるわけではない、というのは、このブログを読まれている方にとっては周知の事項だと思われます。では、その連絡運輸範囲はどこなのか、まずは、規則を見てみます。規則別表には、連絡運輸を締結している社局それぞれについて、連絡会社名、経由運輸機関名及び区間、接続駅、乗車券類の種別、特殊取扱次項が記載されています。どこの社局でもいいですが、例えば、北越急行株式会社線を取り上げてみます。

215)北越急行株式会社線


連絡
会社名


経由運輸機関名
及び区間


接続駅


乗車券類の種別


特殊取扱
事項


北越急行株式会社線


東日本・東海旅客会社線

 

 


上越線

   六日町

飯山線

   十日町

信越本線

   犀潟


片、往、続、勤定、学定、団、急、特車、座

 


 

 接続駅と発売できる乗車券類の種別はわかりますが、肝心要の連絡運輸範囲については、ざっくりとしていてよくわかりません。この表から読み取れるのは、少なくとも連絡運輸を取り扱っているのは、JR東日本とJR東海であり、北海道や西日本は取り扱っていない、ということくらいです。その東日本や西日本でも全線全駅で取り扱っているわけではありません。かつて、特急「はくたか」が走っていた頃は、六日町犀潟間の通過連絡については、JR6社との取り扱いがありましたが、今は縮小されています。

 話が脱線しましたが、要するに、規則から連絡運輸範囲を読み取るのは困難です。では、規程はどうでしょうか。結論から言うと、連絡運輸範囲は、規程別表に記載されています。みどりの窓口で連絡乗車券を求めた際、係員氏が規程別表を見ながら、発売可否を確認しているのはよくある光景です。

 そうすると、規程別表はどこで見られるのか、という疑問が湧きます。これについては、いろいろな人がJRに問い合わせをしていて結論は出ています。つまり、「内規なので公表していない」が答えです。

 そもそも、規程というのは、JR内部の取り扱い事項を定めたもの、というのが建前になっています。従って、旅客には見せられない、ということのようです。(*1)

 個人が個別に問い合わせたり、好意的な係員氏が見せてくれたりする例はあるようですが、あくまでも非公式の情報です。個人の問い合わせは、JRが回答したものなので、公式のものではないか、とも思われますが、あくまで個別に答えたもので、回答を広く頒布することは控えるように、と追記されていることからして、公式資料とはいえません。これをなんとかして、合法的かつ公式に知ることはできないか、というのを考えていくのが、今回の趣旨です。

 

 ここから先は、関係法令を詳しく見ていきます。

 そもそも、連絡運輸は、各社が勝手に契約を締結しているわけではなく、根拠法として、鉄道事業法第18条があります。

条文を引きます。

 

(運輸に関する協定)

第十八条 鉄道運送事業者は、他の運送事業者と連絡運輸若しくは直通運輸又は運賃に関する協定その他の運輸に関する協定をしようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

 

 鉄道会社同士が連絡運輸に関する協定を締結するときは、その都度、国土交通大臣に対して届出をしなければならない、ということが定められています。「国土交通省令で定めるところにより」とあるので、省令を見てみます。この省令は、鉄道事業法施行規則を指します。

上記鉄道事業法18条を受ける条文は、施行規則第36条です。また条文を引きます。

 

(運輸に関する協定の届出)

第三十六条 法第十八条の規定により運輸に関する協定の設定又は変更の届出をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した運輸に関する協定設定(変更)届出書を提出しなければならない。

一 当事者の氏名又は名称及び住所並びに運送機関の種類

二 設定し、又は変更しようとする協定の内容(変更の届出の場合には、新旧の対照を明示すること。)

三 設定し、又は変更しようとする協定の効力発生の日及び存続の期間

2 前項の届出書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。

一 協定書の写し

二 協定の実施方法の細目を記載した書類

 

 私が注目したのは、第1項第2号です。すなわち、設定し、又は変更しようとする協定の内容、は国土交通大臣に対して届出をしなければならない、とされています。

 連絡運輸協定を締結する際に、どこの駅から駅までの範囲でお互いに連絡運輸を設定するか、というのは、両者で決定しているでしょうから、これを設定し、又は変更するとなると、連絡運輸協定の内容が新規で設定される、又は変更されるのではないか、と推測しました。

 しかし、その一方で、連絡運輸協定には、「A社とB社の間で連絡運輸を行なう」とだけ定め、具体的な連絡運輸範囲については、協定本体とは別個、それこそ両者の内部的事項として定められているとすれば、連絡運輸範囲を変更したとしても、協定そのものの変更には当たらないことから、届出は不要と解されます。

 ここまで法令を見てみたところで、具体的な連絡運輸範囲を知る方法として、私の頭の中に、「開示請求」が浮かびました。正確には、行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づく、開示請求です。

 

 今回はここで区切ります。続きはまた次回です。

 

(*1)

 JR各社では、連絡運輸範囲については、内規で定めているものであるから公表していない、としていますが、公営交通、例えば、福岡市交通局では、公開されています。「福岡市高速鉄道連絡運輸規程」という名称で、詳細な連絡運輸範囲は、別表に記載され、公開されています。

 全文引くことはしませんが、一部だけ抜粋すると、次のようになります。

 

別表第1

1 高速鉄道及び社の発売する乗車券による連絡運輸

(1) 相互連絡(接続駅が姪浜の場合)


連絡運輸区域


乗車券の種別


高速鉄道


接続駅


社線


1号線 室見・福岡空港間各駅

2号線 呉服町・貝塚間各駅

3号線 渡辺通・橋本間各駅

 


姪浜

 


九州旅客会社

筑肥線下山門・唐津間各駅

唐津線西唐津駅

 


片道普通券

定期券

団体券

乗継乗車券(天神南駅に限り発行する。)

 

 

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