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2021年10月の2件の記事

2021年10月31日 (日)

実習用通学定期券

 旅客営業規則36条は通学用定期の発売方法を定めた条文ですが、その第4項には、次のようにあります。

「指定学校の学生、生徒若しくは児童が、実習のため実習場等まで乗車する場合で、当社が必要と認めるときは、第1項の規定に準じて通学定期乗車券を発売する。」

 この条文は、いわゆる実習用通学定期券の発売について定めたものです。通常の通学定期券は、自宅最寄り駅から、学校最寄り駅までの区間に限り発売でき、通学の用に供する限り割引の運賃で発売されるものです。従って、それ以外の区間を発売することはできません。例えば、大学生が、自宅から大学まで通い、それとは別にアルバイト等で事業所に通う場合、学校最寄り駅と自宅最寄り駅の間は、通学定期券になりますが、事業所に通う経路で、通学定期券以外の区間は、「通勤」定期券となります。この場合、別個に2枚の定期券を購入してもよいですが、旅客営業基準規程に基づき、1枚にして発売することも可能です。

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 私が大学に通っていた時、東京までは通学定期とし、アルバイト先の渋谷へ行くため、代々木渋谷間は通勤とした2区間定期を所持していました。これはSuicaに載せることができました。余談ですが、東京から本郷三丁目まではたぶんそんなに行かなかったので回数券かなにかにして切り離していました。

 これは事業所に、学校の課程とは無関係に通っているので通勤定期券ですが、医療系看護系の学生を中心に、国家資格を取得するために、現場での実習が必要な場合があります。私は法学部にいたので、紙と鉛筆、六法の勉強ばかりで実習という概念はありませんでしたので、実習定期券を使う機会はありませんでした。よって、これは譲り受けたものです。

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 実習先へ通う場合は、実習先最寄り駅と自宅最寄り駅の区間で、「通学」定期券を発売する、とされています。運賃は、当該学生の通う学校区分に応じたものになります。通学証明書と同様式の書面に、「実習用」と赤書きした通学証明書を提示することで購入できます。

 これをもらったとき、どうしてSuicaにしなかったのか聞くと、Suicaにはできない、と言われたそうです。磁気定期券に、「実習」と赤書きされています。私はこの先も使う機会はなさそうな定期券です。規則上あるのは知っていましたが、現物は初めて見ました。

 余談ですが、これを買うときに、豊田のアシストマルスで頼んだところ、八王子~飯田橋と通学証明書に書いたにもかかわらず、八王子~四ツ谷で発売されてしまい、その日はそのまま飯田橋まで行って、Suica精算書をもらい、帰り豊田のアシストマルスで往復分の精算書と券面、それに通学証明書の写真(よく撮影したものだと思いますが)を全部提示して区間間違って発売されているから交換と運賃の返還を請求しましたところ、アシストマルスでは対応できないので、裏から通学証明書の原本を駅員氏が回収し、乗車駅証明書(豊田でも出せるのをこれまた初めて知りました)と一緒に渡され、八王子の窓口へ行くよう言われ、電話連絡されていたようで、定期券の交換と運賃の払い戻しを受けたうえ、助役クラスの人が出てきて、平謝り、粗品をもらったそうです。

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2021年10月10日 (日)

美作国やまもりきっぷ

 7月の4連休に実家で何気なく新聞を見ていると、阪急交通社の広告に、「企画列車」という文字があるのを見つけました。旅行会社主催の団臨だと、専用列車とか貸切列車、とか書かれますが、この「企画列車」というのはあまり見ません。気になったので調べてみると、どうやら津山線で運行される「美作国やまもり号」という列車で、食事付きらしいということがわかりました。もう少し調べると、JR西日本おでかけねっとで、「美作国やまもりきっぷ」なるきっぷが発売されていることがわかりました。この列車に乗車するには、このきっぷを購入することが必須で、乗車券、指定席券、食事料金がセットになって発売されており、ほかの乗車券類では乗車できないが、一般にも開放されているようです。

2021_09180035(亀甲にて)
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2021_09180012(岡山にて)

 列車の運転は、7月から9月までの隔週の土曜日で、車両は、キハ47系の「ノスタルジー」車両だそうです。しかも、「美作国やまもりきっぷ」は、JR西日本のトクトクきっぷ専用予約ダイヤルでのみ発売(JWESTカード会員は、会員専用ダイヤル)で、窓口や券売機、ネットでは一切発売していませんでした。

 

 とても面白そうなので、乗ってみることにし、1か月前10時に会員専用ダイヤルに電話をしてきっぷを予約しました。きっぷは、企画券本体と指のみ券、食事予約券の最低3枚になると予想しましたが、三ノ宮駅で受け取ってみると、本体と指のみ券の2枚だけで少し面食らいました。この列車に乗車するための専用きっぷなので、必ず食事料金が含まれているから食事券は不要ということなのだと思います。価格は6000円です。
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 当日岡山から列車に乗り込むと、ボックスシートには、ホームセンターで買ってきたと思しき折り畳み式のテーブルが設置してありました。車内はほぼ満席です。食事として提供されるのは、岡山の郷土料理、「かえし寿司」で、要するにばら寿司ですが、岡山藩主の倹約令に反発した庶民が、鮓飯の下に具材を隠して、ひっくり返して食べていたのが由来だそうです。

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2021_09180020(かえし寿司)
 津山線は車窓としてはごく平凡ですが、途中の亀甲駅で長時間停車します。駅舎が亀の形をしているので有名です。ここで地元のおもてなしがあり、駅前の商工会議所で、たまごかけご飯の振る舞いがあります。地元の玉子を使っていて、黄身が赤く、おいしかったです。商工会議所の中の研修室に机と椅子が並べられていて、そこで食べます。出るときに「おかわりありますよ」と言われましたが、もうお腹一杯でした。おいしいので、もう1杯ほしいところでしたが…

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2021_09180032(亀甲駅とたまごかけご飯)
 津山に着いてからは観光周遊バスに連絡しており、ツアー客はそちらに乗り継いでいました。この列車は津山線の新しい観光列車で、どういう企画をするかを考えるための試験だと思います。先日観光列車の名称が発表され、「SAKU美SAKU楽」(さくびさくら)と決まりました。定期的に運行される列車の前段階として運転された列車に乗るのは久しぶりです。「リゾートビュー星空」に乗ったときは、野辺山駅からバスでホテルに送迎され、指定券だけで乗車してきた人にもポトフがふるまわれ、ホテルの芝生で星空観察会があるなどしていましたが、「HIGHRAIL星空」では駅前で星空観察で、送迎もポトフもありません。津山線も、商工会議所の研修室でたまごかけご飯は食べられないと思いますが、たまごかけご飯はおいしかったので、これは取り入れてもらいたいです。

 

 

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