実習用通学定期券
旅客営業規則36条は通学用定期の発売方法を定めた条文ですが、その第4項には、次のようにあります。
「指定学校の学生、生徒若しくは児童が、実習のため実習場等まで乗車する場合で、当社が必要と認めるときは、第1項の規定に準じて通学定期乗車券を発売する。」
この条文は、いわゆる実習用通学定期券の発売について定めたものです。通常の通学定期券は、自宅最寄り駅から、学校最寄り駅までの区間に限り発売でき、通学の用に供する限り割引の運賃で発売されるものです。従って、それ以外の区間を発売することはできません。例えば、大学生が、自宅から大学まで通い、それとは別にアルバイト等で事業所に通う場合、学校最寄り駅と自宅最寄り駅の間は、通学定期券になりますが、事業所に通う経路で、通学定期券以外の区間は、「通勤」定期券となります。この場合、別個に2枚の定期券を購入してもよいですが、旅客営業基準規程に基づき、1枚にして発売することも可能です。
私が大学に通っていた時、東京までは通学定期とし、アルバイト先の渋谷へ行くため、代々木渋谷間は通勤とした2区間定期を所持していました。これはSuicaに載せることができました。余談ですが、東京から本郷三丁目まではたぶんそんなに行かなかったので回数券かなにかにして切り離していました。
これは事業所に、学校の課程とは無関係に通っているので通勤定期券ですが、医療系看護系の学生を中心に、国家資格を取得するために、現場での実習が必要な場合があります。私は法学部にいたので、紙と鉛筆、六法の勉強ばかりで実習という概念はありませんでしたので、実習定期券を使う機会はありませんでした。よって、これは譲り受けたものです。
実習先へ通う場合は、実習先最寄り駅と自宅最寄り駅の区間で、「通学」定期券を発売する、とされています。運賃は、当該学生の通う学校区分に応じたものになります。通学証明書と同様式の書面に、「実習用」と赤書きした通学証明書を提示することで購入できます。
これをもらったとき、どうしてSuicaにしなかったのか聞くと、Suicaにはできない、と言われたそうです。磁気定期券に、「実習」と赤書きされています。私はこの先も使う機会はなさそうな定期券です。規則上あるのは知っていましたが、現物は初めて見ました。
余談ですが、これを買うときに、豊田のアシストマルスで頼んだところ、八王子~飯田橋と通学証明書に書いたにもかかわらず、八王子~四ツ谷で発売されてしまい、その日はそのまま飯田橋まで行って、Suica精算書をもらい、帰り豊田のアシストマルスで往復分の精算書と券面、それに通学証明書の写真(よく撮影したものだと思いますが)を全部提示して区間間違って発売されているから交換と運賃の返還を請求しましたところ、アシストマルスでは対応できないので、裏から通学証明書の原本を駅員氏が回収し、乗車駅証明書(豊田でも出せるのをこれまた初めて知りました)と一緒に渡され、八王子の窓口へ行くよう言われ、電話連絡されていたようで、定期券の交換と運賃の払い戻しを受けたうえ、助役クラスの人が出てきて、平謝り、粗品をもらったそうです。
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