急行「はまなす」
(青森にて)
急行「はまなす」は、青森~札幌間を結ぶ夜行急行です。現在ではJRグループ最後の定期急行列車となり、また、最後の定期客車列車となっています。青函トンネルの開業した昭和63(1988)年3月13日に運行を開始したJRの急行列車です。由緒正しき急行列車の様に思われがちですが、国鉄時代を知らない列車です。青函連絡船の夜行便を受け継いだダイヤとされました。運行当初は座席車のみの5両編成でしたが、その後、B寝台車の連結、カーペットカー、ドリームカー(いずれも指定席)の連結と続き、現在、所定の編成はB寝台2両、自由席2両、カーペットカー1両、ドリームカー2両の計7両です。
(青森にて)
(寝台車)
客車は主に、急行「ニセコ」の旧型客車置換用に札幌運転所に大量配置された北海道仕様の14系500番台客車を使用しています。寝台車は24系です。一部は電源装置を装備し、14系に編入されています。自由席車両はストッパー付簡易リクライニングシートのままです。連休中や夏休み、年末年始等の繁忙期には最大12両まで増結されます。この場合、B寝台3両、自由席3両で、あとはカーペットカー、ドリームカーを含め指定席車両となることが多いです。
運行開始以来、本州と北海道を結ぶ夜行急行列車として人気を保って来ましたが、今年3月26日の北海道新幹線開業に伴い、青函トンネルを通れなくなるため、廃止されることが決定しています。改正後は、札幌発青森行きの代替として札幌~東室蘭(室蘭)間で特急「すずらん」が運行されることになっています。早朝札幌着の列車については代替列車はありません。この列車の廃止によって、青函連絡船時代から続いて来た青函夜行は幕を下ろします。
(急行「はまなす」札幌行き)
私は、5年前、高校生だった頃、神戸から北海道へ渡るのに往復とも乗りました。7月の海の日連休を使っての3日往復の強行軍で、新大阪6時丁度の新幹線で東京乗換、秋田、五能線経由で青森まで行きました。22:42発の急行「はまなす」は私にとって、最初の寝台車でした。行きは上段しか取れず、発車前の青森で下段に変更を試みるも満席でした。指定された寝台のボックスに入り、梯子を登ってカーテンを閉めると、そこは幅70cm、高さ95cm、長さ190cmの狭い空間ながらも自分専用のスペースで、通路の屋根裏には荷物置きまであり、その機能性の高さに感心しました。それと同時に少しカーテンを開けると、下の通路まで結構な高さがあり、怖かったのも事実です。
(B寝台入口)
(上段寝台)
青森を発車し、客車列車独特の「ハイケンスのセレナーデ」を聞きながら、座席夜行とは違う雰囲気を感じ、寝台に横になると、青函トンネルに入る頃には、すっかり夢の中に入りました。目覚めたのは、苫小牧あたりだったと思います。上段の小さな窓から外をみると、そこには、本州とは比ぶべくもない、広大な勇払原野が広がり、北の大地に来たのだと思いました。千歳を出て、次第に市街地に入って行くと、札幌も近いです。夏だというのに湿度も低く涼しい、北海道の玄関口、札幌駅に着いた時の感動は今でも忘れません。
(札幌にて)
伊丹空港から新千歳空港に飛べば、それこそ2時間も掛かりませんが、青森からの夜行寝台で北海道に上陸したからこそのものだったと思います。今でも、基本的に北海道へ渡るときは青函トンネルをくぐっていますが、東京から新幹線に乗っても半日以上かかる札幌というところはそれだけの時間を掛けて行くべき所であると思います。
この列車が無くなると、いわゆる「B寝台」という設備を持った列車も無くなります。これが私にとって結果的に、最初で最後の開放型B寝台列車の旅になったと思います。個室寝台とは違った、古い時代の良さがあったような気がします。
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こんばんは。
検索結果より参りました。
はまなす、懐かしいです。青函連絡船を知らない私にとっては、この列車が北海道に渡るための交通手段の一つでした。
青函トンネルの中は風景を楽しめる訳でもありませんが、トンネルを抜けたときには嬉しさを感じます。
北海道新幹線に代わり、より早く目的地に着けるようになりましたが、青い客車に乗っていた時間の感覚はこれからも忘れることはないと思いますし、速さだけではない旅を求め続けるような気がしています。
風旅記: https://kazetabiki.blog.fc2.com
投稿: 風旅記 | 2020年1月15日 (水) 21時52分
同感です。寝台列車や夜行列車には、独特の風情がありますよね。
「今日は、〇月〇日〇曜日です。時刻は、6時〇分です」という放送もめっきり聞く機会が減りました、、
投稿: さくらゆきなみ | 2020年1月19日 (日) 18時17分